変額有期保険勧誘目的のマネーセミナーの闇①

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当ブログでは、これまで全国の保険代理店が行っているマネーセミナーに気を付けるよう警鐘を鳴らし、かつ、斬ってきました。
なぜか?
マネーセミナーとは名ばかりで、実態は「変額有期保険販売セミナー」だからです。
それ自体がいけないのではなく、そのやり方がお客様をある意味騙し、泣かすことによりセルサイドが儲かるという流れになっているからです。

ここでいう変額保険は、「変額有期保険」です。
私はセミナー経由で変額保険を契約された(=させられた)方から、何度となくご相談依頼を受けてきました。
その惨状を拝聴するたびに、この業界の闇を認識しつつ、法令違反で契約取消を求めるべきとのアドバイスを行ってきました。
その結果は、すべて契約取消(ADRまでいっていません)です。
セミナー後にある個別相談に参加され、そこで真っ先に変額をすすめられた場合、すすめる際のセールストークは法令違反のオンパレードが多いです。
だから、契約の取消になるのです。

このたび約2年ぶりに典型的なマネーセミナー経由による変額保険を契約させられてしまった方からのご相談を受け、その酷さとデタラメさ、悪質さからアドバイスを行うことを決め、結果、契約取消となった実話をシェアしていきます。
もちろん当事者として苦しまれたご相談者の許可を得ております。
ご相談者は、
「私と同じような思いをされる人が一人でも少なくなるように」
「当該保険募集人、保険代理店にバツがくだされれば、このようなセミナーが開催されなくなるのではないか」
といった思いがあり、少しでも多くの方に「このようなセミナー参加~変額契約をさせられる騙しのようなこと」が減少すればいいとおっしゃっていました。

まさにひたすら続くマネーセミナーの闇です。

マネーセミナーで”女性のための”という看板になっているものは注意

今回問題となったマネーセミナーは、全国広域で展開している保険代理店が各地域のネットやフリーペーパーを使って広告集客をしています。
ひとつの会場で複数名のFP資格保有者が講師をするようになっていましたので、参加者側から見ると「大きな会社なのかな」と思われるかもしれません。しかしながら、実態は複数名のフルコミ保険募集人が会場費や広告費を出し合っているケースだと思います。
もしくは所属している代理店が広告費を出し、手数料を折半したりしているのかもしれません。
(余談ですが、最近は一人ではなにもできないフルコミ保険募集人が多い)

さて、この手のセミナーは常に「女性のための」という標語がついています。
超高齢化と核家族化、未婚化も重なって単身高齢女性が増加し、その年金収入や貯蓄等について考えていく必要がある昨今ですが、この手のセミナーではまずそのような視点や問題意識はなく、ただ投資をさせたいというテーマになっています。
一見、女性の方は参加しやすいと感じるかもしれませんが、性別で線引きしていること、また豪華なホテルやセミナー会場で参加者にケーキセットのプレゼントといったもので釣っていることに(今後の人生のためにおいても)きな臭さを感じるようにしてください。
あなたが勤めている会社が、参加者にとってタメになるセミナーを開催するとして、参加者に「ケーキセット」を出すなんてことしますか?
する場合はどういう魂胆があると思いますか?

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世の中にあるあなた自身が新たに投資をするということをすすめるセミナー(よくあるこの手のマネーセミナーから不動産投資セミナーに至るまで)というのは「カモの囲い込みの場」であり、そのあとの個別相談は「カモの洗脳の場」というマーケティング手法です。

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セミナーで行われている内容は当ブログにある内容とほぼほぼ同じです。
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セミナーテキストは、講師の自己紹介として「保険代理店に所属している」「保険募集人である」ことを隠しているかのように、それらのことを明示せず(口頭でも発言せず)、マネーセミナーとは関係ない他の資格をなぜかアピールし、通常業務が「生命保険募集」(所属会社のHPには生命保険のことしかのっていません)にもかかわらず「住宅購入相談」や「相続相談」などを日常業務としてやっているようなことを記載していました。

注意すべき点

その講師はどのような組織に所属しているのか。
そもそも、そのセミナーの主催者はどこか。

皆さんがマネーセミナーで知りたい制度や仕組み・商品の一般的なイメージは



ではないでしょうか?

セミナー資料(テキスト)の中に、変額有期保険に触れるものがあれば変額有期保険を契約させるためのセミナーになっている可能性が高いと思ってください。

変額有期保険は死亡保険商品であり、そもそものセミナー参加者のニーズはそこにあるのか

マネーセミナー参加者で「変額保険(=変額有期))」というものを知りたい人ってどれほどいるでしょうか。
変額保険は死亡保険商品です。
死亡保険であれば、死亡保険にかぎらず保険であれば、町の保険ショップやお付き合いのある保険担当者から聞くことができますよね。
セミナー講師が保険募集人であり、変額保険を説明するのであれば、しっかりとした説明をしないといけませんが、残念ながらそのセミナー資料にあったもの(変額について)はかなり不適切なレベルで、残念を通り越して、これが保険会社が保険代理店に求める新契約至上主義(新契約の数字さえあがればいろいろと優遇する考え方)による弊害のひとつだと再確認しました。
このあたりは、所属の保険代理店・保険会社の監督および教育責任が多分にありますね。
ほとんどの場合、保険会社も保険代理店も変額有期保険を販売したいがためにマネーセミナーを行っているのですから正々堂々と”変額保険説明セミナー”と題してセミナーをするべきですが、それをしませんし、しようともしません。
ここにこの問題の「闇」があり、残念ですが諸悪の根源は保険会社の営業姿勢にあると思っています。

変額年金保険も扱っていながら、IFAもしていながら、ただひとつ変額有期保険しかすすめない彼らは、最近の言葉で表すとクズですね。

この手のセミナーのネット広告やチラシ広告にも「NISAやiDeCoも」といった記載をよく目にしますが、「変額保険」といった記載は目にしませんね。
実際には「変額保険」を募集することが目的(保険代理店が行う場合、ほとんどがそうです)になっているにもかかわらず、それは表示しないようにしている姑息さ。
まあ深い、そして”不快”闇ですよね。

皆さんのセミナーへの参加目的が「NISA(つみたてNISA)」「iDeCo」のことを知りたいということであった場合、その目的は叶わないことが多いです。
変額保険契約へ導くためのストーリー仕立て(マーケティング)になっているからです。

女性の契約者の加入経緯きっかけがセミナー参加が多数を占めている可能性があるこの商品、そうであるなら猶更、セミナー広告やセミナー資料へのチェックを保険会社や保険代理店のトップは行うべきですが、それをしようとも、した方がいいとも思わない彼らの仕事は「闇」です。

金融庁 資産運用業高度化プログレスレポート2023

金融庁が発表した「資産運用業高度化プログレスレポート2023」に以下のような記述があります。


わが国の運用商品の販売現場が、販売手数料獲得型の営業を主流としており、その時々で話題性があり、顧客に販売し易い新規商品の提供を優先してきたことがある。販売現場のこうした行動は、顧客に訴求しやすい新商品の開発と「販売ストーリー」資料の作成、研修提供等、販売会社の営業支援を重視した資産運用会社の行動とリソースの配賦に繋がってきた。

すべては販売者の販売者による販売者のためのものになっているということです。
金融事業者には、私の20数年にわたる肌感覚ですが、投資家、顧客の方を向いていないセルサイドがたくさん存在します。



続く・・・

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