変額有期保険勧誘目的のマネーセミナーの闇⑦

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重要!当月以降の保険料支払いをしないこと

ご相談者は保険会社のカスタマーセンターに電話し、今回の事情(誤認勧誘話)説明をし、契約取消の申し出と今月以降の保険料請求停止を依頼されました。
カスタマーセンター「保険料の請求停止をすることはできません。それをご希望されるのであればすぐ(今月●日まで)に解約手続きをしてください」
つまり、解約であれば保険料請求停止はできるが、それ以外は請求停止できないとの見解です。
各保険会社によって対応は異なると思いますが、今回は「契約の取消」(保険会社側としては最大級の危機管理をしないといけないでしょう)を申し出たお客様への対応となります。
残念なことに杓子定規でした。
事の重要性(不祥事案件)が分かっていなかったようです。

ご相談者から上記のことを伺った私は「現時点で解約はしないほうがいいです」とお伝えし、別の方法で対応することをご案内しました。

当該保険会社のカスタマーセンターは、自社のお客様より保険代理店の募集人から不適切販売により保険募集を受けた契約の取消意思を表明され、その申し出を「然るべき部署に連携します」「解約をされた後でも契約の取消対応は変わらずします」と回答されたとのことでしたが、これ(解約をされた後でも)はやはり違うと思ったほうが良いでしょう。
解約後に気づかれてアクションを起こされたのであれば、当然それしかありませんが、通常契約継続中に気づかれるケースがほとんどだと思いますので、「解約」とかではなく、まず「保険料の請求停止」をした後でアクションを起こしていくべきだと思っています。
なぜなら保険会社側(=保険会社に勤めてる人)にとって「解約した元顧客」と「現在も保険継続中の契約者」とでは、やはり対応は異なってしまう可能性があるからです。


解約した場合 → 元契約者(元顧客)

保険料請求停止の場合 → 既契約者(顧客)


事実、今回は上記の対応やその後の対応からも当該保険会社にはそれ(=解約せずに、保険継続中の契約者として対応していく)が有効だったと思います。

別の方法で対応いただいた結果、当月以降の保険料請求の停止はできることになりました。
残念なことに、当該保険会社は、やればできることについて「できない」ことを前提に顧客対応していたことになります。
なるほど、HPに掲げている通り、”顧客本位”の保険会社だと分かります。(HPにあるのはお題目だけ)
この対応で当該保険会社はご相談者に対して真摯な対応はしてきそうもないなと感じました。

この時点で、まず数十万円(一ヶ月分の保険料)が助かったことになり、これ以上の出血を止めることができましたので、ここからが本番となります。

戦う相手を信用してはいけない

保険会社(大企業)と比較して圧倒的に弱い立場(知識面・金銭面・専門性)にあるお客様側が、最初の段階でスムーズに対応しなかった相手側(社員)を信用するのはやめたほうがいいです。
皆さんが思っている以上に、相手側は釣った魚(契約の取消を言ってきた契約者)に対して冷徹ですよ。

ここからは、迅速に、確実に、的確に、そして徹底的にを意識しての対応となります。

保険会社への連絡と同時に行うべき行政機関への連絡

さて、ここで同時にやるべきことがあります。
それは、国民生活センター、生命保険協会への連絡(連携)です。
特に、国民生活センターへの連絡はすぐに行ってください。
できるだけ面談で話を聞いてもらえるほうがいいです。(時期的に難しいかもしれませんが)
良い人(?)に当たれば、的確なアドバイス等をもらえる可能性があります。
今回のご相談者は、以下のような法令違反により誤認契約をさせられたことを伝えられました。
(皆さんがそうされる際は、具体的な話をしっかりとされてください)

保険業法違反
消費者契約法違反
金融商品取引法違反
金融サービス提供法違反
個人情報保護法違反疑義
保険会社への虚偽報告


専門家に話を聞いてもらうことによって、専門家の視点(声)による事の大きさの再確認、自分の闘志に火をつけること、何よりそこから相手側へ直接アプローチをかけてもらうこともできる可能性とアドバイスが受けられるようになります。
つまり、専門家をあなたの味方にすることができます。
一人でも多くの専門家を味方にし、さらにその数を増やしていくことです。

ご相談者から話を聞かれた上記2か所の担当者の感想は、「それは実際の話なのか!?」とその酷さ驚愕されていたとのことです。
一方で、「なぜ!?」ということも問われたとのことです。
「なぜ」というのは、「なぜ、そのような高額な死亡保険金・高額な保険料の契約をされたのか」という意味です。
しかし、なぜと言われても相手(保険募集人)は騙すつもりで接してきている違法業者なので、そういうことが起こってしまうのです。
違法業者は「なぜ?」をたくさん起こす専門家です。

このように、ご相談者が体験された話を普通に聞かれた常識人は驚愕される感想を持ちます。それが普通です。
つまり、ここからも保険会社は自ら積極的に成立前確認を実施すべきだということです。
それがいまの時代における彼らの”本当の仕事”です。
(そういうことが分かる人材がいない、いても社内で意見しないのが問題)
申込時の形だけの電話確認(アリバイ作り)なんて、契約者と保険募集人の負担を増やすだけで、誤認防止・再発防止に対して何の意味も効果もありません。

契約後に疑問を持ち、ネット掲示板で相談しても無意味

残念なことに、これらのアクションをせずにただ解約する方々が多いのが現状だと思います。
ネットの知恵袋などで相談し、似非専門家に適当なことを言われ「解約」をすすめられて終わりという結末ばかりでは、行政機関(金融庁・消費者庁)へ情報が蓄積されません。
今回のように連絡をしても氷山の一角的な扱いをされてしまいます。
よく「高い授業料ですね」と自虐している相談者(保険契約者)に泣き寝入りさせるだけのネットのアドバイス(続けるか、解約をすすめるか的なものが多い)を見かけますが、害にしかなりません。(・△・)
専門家というのは、非対称性で保険会社に言いくるめられそうになる契約者を正しい本物の知識と経験値を使って守れるようアドバイスできる者のことです。

上記2か所への連絡後は、相手側の対応によってお住いの地域の財務局と金融庁金融サービス利用者相談室等へも働きかけていくことになります。

それにしても今回のケース、保険会社の対応はよくなかったです。社会的責任においても倫理的な面においても問題ありだと思いました。
業界が求めている態勢整備ができているとは到底言えず、また保険会社が顧客から法令違反を指摘されていながらそれについてどのように対応していくのかについて、客観的にまったく参考になりませんでした。
酷いものです。
というよりも、一からコンプラ教育をしないといけないのではないかと思ったものです。

プロ・専門家と素人・初心者との違い

新契約の数字(自分たちがお金を得ること)ばかり追い求めているだけの生命保険営業は、どれほど巨大なビルで仕事をしていようが、莫大なコストをかけてWEBサイト等で自社をアピールしていようが、この程度なのだと改めて感じました。
金融庁から”顧客本位に営業しろ”って言われるわけです。
顧客本位って、どの業種でも普通のことなのに金融業界全体がなぜ行政からわざわざ言われないといけないのか。(子供か!)
残念なことに金融業界には恥ずかしい人たちが多すぎだということです。

一方で、行政側も顧客本位でっていうのなら、今回のようなことをはじめとした不祥事故報告が多数あがっていることに対して、金融機関をまともに指導しないのは業務怠慢です。
これは本当にそう思います。

プロ(専門家)は膨大な時間とコストをかけて知識や経験に磨きをかけてきています。
素人や初心者ができないこと、相当な時間をかけてもなかなかできないことを短時間・短期間に分かりやすくまとめ、表現することができます。
金融の世界は、意外とプロ(専門家)は少なく、素人や初心者、無責任な情報発信者がたくさんいます。
気をつけてください!!

続く・・・

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コメント

  1. ショコラパパ より:

    私の娘夫婦を騙した保険代理店代表は、ADRによる変額保険契約の取消・掛金全額返金という結果にも拘わらず、何事もなかったかのように今も以前同様マネーセミナーを開催し個別相談に誘い込み変額保険の勧誘を続けています。いったい保険会社からどのようなペナルティがあったのかなかったのか分かりませんが、このような悪質な保険募集人を野放しにしている保険会社の体質に疑問を感じています。
    また、この保険代理店代表は、保険募集人ということを隠し「お金のプロのFPによる家計の見直しというマネーセミナー」を開催し無料個別相談に誘い込み言葉巧みに変額保険を契約させるという手口をとっています。このようなFP資格を悪用した保険募集人に対して日本FP協会は、協会規程にあるように厳しい懲戒処分をするようにと願うばかりです。
    ショコラパパ

  2. FPマネーネット代表 より:

    コメントありがとうございます。
    >何事もなかったかのように今も以前同様マネーセミナーを開催
    おっしゃる通り、保険会社のコンプラに対する意識は金融庁から指摘を受けないものに対してはとても低いと感じています。
    今回の件とは関係ありませんが、法人契約税制の行政指摘問題がありましたが、最近の保険会社には自浄作用能力はなく、新契約のためであればいけるところまでいけという感じなのではないかと思っています。(やってる感はメチャクチャだしています。お金を使って、保険代理店を虐めて)
    最近報道されている中古車販売会社の保険金目的のための水増し不正問題もそのような背景もあったのではないかと思います。
    >保険代理店代表は、保険募集人ということを隠し
    ここは明確にしないといけないことを保険会社は指導しないといけないのですが、そういうところもチェックできていない保険会社ばかりです。
    このような保険募集人によって、たくさんの契約者が報われないリスクを負っていることが残念でなりません。
    自分のサラリー確保第一の保険会社社員が多すぎですね。