変額有期保険勧誘目的のマネーセミナーの闇⑨

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初動対応を間違った、もしくは意図的に不誠実な対応をとった保険会社

今回、保険会社側はコンプラ研修だったとしても間違った対応を行いました。
”自社のお客様”に対して、普通にとるべき行動をとらなかったのです。
簡単にまとめると

顧客からの苦情対応に対して基本動作ができない保険会社社員がいる
そのような社員らが、保険募集の基本動作ができない保険募集人に自社の特定保険契約を大量に販売させる

彼らの使命は、
将来のことを考えてリスクをとって投資していこうとした普通の人たちを泣かせることによって、自分たちの収入をふやすことを第一義としている

その仕事ぶりを的確に指摘すると、不祥事故として保険会社が非を認めることになる
その再発防止対策はジェスチャーだけで本気で取り組んではいない

分かりやすい図式です。
通常、保険会社側は保険代理店・保険募集人側に対してコンプライアンス研修を行っています。
その研修を行う側の人間が、手本を見せるべき側の人間が正しい顧客対応をできていなかったというお粗末さには呆れました。

まず、保険会社側は「契約の取消」を要望したご相談者に連絡をしてきませんでした
カスタマーセンターでは、しかるべき部署に連携すると対応しており、さらに保険料請求停止について、通常とは違う対応で、一度はできないと言っていた対応をできるようにしたという経緯もあります。
通常、保険会社側はこのようなことを言われた顧客に対して、とにかく早急に事情を聞くということをしないといけません。
それを一切しなかったのです。
つまり「放置」です。
この「放置」の意図は、一言で言い表すと「自社のお客様を舐めている」「余裕で言いくるめることができる」と思っていたのではないでしょうか。

以前は、この保険会社も私の知る限り今回のような苦情に即対応していましたが、あまりにも同じような苦情が日常茶飯事的に多く、それによりこれらの対応に慣れたのか、言いくるめることが簡単なのでルーティンとして軽く扱ったのか、いずれにせよ、誤った不誠実な対応をしたことだけは確かです。

このような対応の事実(=コンプラ対応の実務能力が低いという事実)も保険会社としてはご相談者の指摘に対し、結果的に反論できない要素になったことでしょう。

保険会社本社と保険代理店代表者への文書送付

ご相談者は、保険会社本社部門と全国展開している保険代理店のため本社・代表者宛に文書を送付されました。
目的および内容は、正式に契約取消を要望することとコンプライアンスについての認識確認です。
前提として、両社には正式に文書で返事をいただくことを依頼していました。

驚きの対応だったのは保険代理店でした。
保険代理店の対応は全くもってコンプライアンスを理解していない対応でした。
全国展開しているので、本社所在地とご相談者に不適切募集を行った場所は全く異なる都道府県のため、代表者の耳に届いていないかもしれないことも考慮し、ご相談者が今回の経緯を細かく書いた文書を送付したにも関わらず、その文書が届いたことはもちろん、自社の顧客に迷惑をかけていることに対しての謝罪等も含め、一切の連絡はありませんでした。
つまり「無視」です。
この保険募集人にして、この保険代理店です。
保険代理店としても、一企業の代表者としても、いやいや社会人としても問題があるレベルで、ただただ誠実さのかけらもないと思いました。

コンダクト・リスクへの対応能力がとても低い・・・人的レベルが極めて低い者たちの集まりだといえます。
ご相談者からみれば、これらの存在・対応レベルはストレスにしかなりません。

契約者に対する不誠実要因:新契約・手数料獲得を評価基準にしている保険業界

これら保険会社・保険代理店の問題レベルは、保険業界の新契約・手数料獲得を評価の第一にしていることの弊害だと思えばしっくりします。

いまの保険業界は、一人の保険募集人のレベルが10段階で3程度だったとして、それが100人いる代理店を「3×100=300」という「300」の評価をして、同じ考え方で10段階で10の保険募集人が5人いる代理店を「10×5=50」と評価し、「300」の代理店を「50」の代理店よりも圧倒的に高評価する仕組みになっています。
つまり、代理店にいる人そのものの質を見ずに、代理店に所属している”人数”(=規模)を見ています。

これは、人(保険募集人、契約者)を「数字、お金」としか見ていないという考え方です。
これらの”精神”が染みついているので、「釣った魚に餌はやらない」を分かりやすさ抜群で行っていると考えるのが自然です。

保険業界の手数料に関する考え方

これは一般的にはなかなか知られていないと思います。
せっかくなので保険会社が保険代理店に支払う手数料について、多くの保険会社が次のような考え方をしており、それが結果的に今回のような不適切募集人を作っていることに繋がっていくことだということをお伝えします。

保険募集手数料は保険会社が一方的に決めている

ある保険募集人のレベルが10段階で3程度だったとして、それが100人いる代理店であれば(上記のような「300(3×100)」という評価になり)仮に「100点満中100点」という手数料評価がされるとします。

一方
ある保険募集人のレベルが10段階で10だったとして、それが5人いる代理店であれば(上記のような「50(10×5)」という評価になり)上記「100点」に対して「50点」という手数料評価になったりします。
つまり、後者は前者の半分(それ以上、それ以下もあります)程度しか手数料が支払われないということです。

日本全国で同じ商品を値引きもせず、同じルールで販売しても手数料は同じではないです。
こういう背景もあり、多くの保険募集人が「自分が得る手数料のために」大きな組織に移動していっています。
このように保険会社の手数料支払の考え方によって、多くの保険募集人がこの仕事への取組みについて自分が得る手数料重視という思考になってしまっています。
そして、手数料率が高く、契約者が支払う保険料を高額設定するように変額保険の販売(セールストーク)が推奨され、それを生きがいにしている保険募集人がわんさかといるわけです。
それ自体がいけないのではなく、お客様を泣かせることで自分を潤わすということがいけないのです。

もともとサラリーマン的な働き方を好まない(=顧客のためにならない商品を会社の指示で無理やり売りたくない)ビジネスマンがこの業界に入ってきたものですが、いまはお金(手数料)のために牙を抜かれていき、顧客のためよりも自分たちや保険会社のために商品を販売することが正義だと教育された者たちが多くいます。(´Д`)
他業種からそのようなリクルートトークで多くの人を転職させてきた保険会社自体がおかしくなったともいえます。
このようなことも不適切な保険募集や金銭詐取などの事件が延々と続いている要因でしょう。

あなただったら、レベル10とレベル3、どちらの保険募集人から説明を受けたいでしょうか?

保険会社の対応は次回に。
続く・・・

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