正式に契約取消(保険料全額返金)決定!!
これまでブログで書いてきた経緯の結果、保険募集人の不適切な募集行為により契約の取消が決定しました。
よくある「調査・確認の結果、不適切な募集とは認められない」といった異議や反論もなく。
驚いたことに、ここに至るまでで保険会社の代理店営業部門(代理店に自社の商品を販売してもらうために代理店に対して営業をしている部門)、コンプライアンス部門がご相談者に直接連絡(面談もしくはオンライン、電話)し、ヒアリングを行うことは一切ありませんでした。
つまり何ひとつ、保険会社からご相談者への「事実確認」作業を行わなかったのです。
逆に、ご相談者が自主的に送付した文書(今回の詳細内容およびコンプラに関する質問書)により、ご相談者の主張を全面的に受け入れ、保険募集人の非を認めたということになります。
消費者契約法違反
金融商品取引法違反
金融サービス提供法違反
個人情報保護法違反疑義
保険会社への虚偽報告
これらすべてを認めた(=その保険募集人は違法業者)ということです。
それにしても今回の保険会社は不思議な対応でした。
繰り返しますが、ご相談者から直接ヒアリングもせずに不適切販売(=不祥事故)を認め、契約の取消(=保険料の全額返金)を決めたのです。
以前から当該保険募集人、保険代理店に明らかなコンプライアンス違反問題でもあり、ここからの保険募集の苦情なら、といった感じだったのでしょうか。
(その可能性は否定できませんが、それであれば再発防止対策ができていません)
私は次のように思っています。
当該保険会社はそもそも今回のような契約の取消を言ってくる苦情相手を舐めており、「契約取消の却下」(その場合、継続か解約がほとんど)というストーリーを作っており、舐めた初動対応を行ったのではないかと思います。
ところが、ご相談者の動きが保険会社の想定ストーリーを超えており、初動対応を誤ったことで他のものにも悪影響を与えないようにしたのではないか、というものです。
他のものというのは、万一、事が大きくなり、金融庁から「他の案件は大丈夫か?全件調査しろ」という指示がされるようなことに発展しないように速やかに幕引きをはかったのではないか。
また、ご相談者からの文書にあるコンプラ質問についての回答ができない状況(自分たちがそれをできていない事実)で、下手をしたら逆にコンプラについて追い込まれてしまうと思ったのではないか。
事実、保険会社はご相談者からのコンプラに関する質問への回答を口頭・文書ともに拒否しました。
きっとボロボロになってしまうからでしょう。
同時に、最悪のケースとしてSNSやマスコミを通じて拡散されてしまうかもしれないと恐れたのではないでしょうか。
「契約の取消をしますので、それ以上は勘弁してください」
といった感じで。
こんなものです。大きな企業の傘で温室育ちの中で育っているサラリーマンなんて。
『立場の弱い者には強くあたり、強い者(行政や法)にはめっぽう弱い』
という感じです。
「法令を知らない素人と法令違反の初心者」があの手この手で消費者を煙に巻こうとたくらんでも、「プロ+正義」には通用しません。勝てません。
ハッキリ言って「法令違反の初心者」は金融業界での能力は低いです。
今回の内容にあたる保険募集人は違法業者です。
いまの日本経済界の特徴とも思えます。
自分はしない・できないが、自分以外の他人(保険会社は保険代理店や保険募集人)には厳しいことを求めるという姿勢、行動。
ご相談者も今回の件でかなりのストレスを受けていましたが、無事契約が取消になり、騙された形で大きなお金を失うことを回避でき安堵されました。
マネーセミナー経由の保険契約における不適切な保険募集の可能性
いかがでしょうか。
同じようなマネーセミナーに参加し、セミナーで語られたシミュレーションのようになる商品だと誤認させられて変額保険の契約をしてしまっている方も多いのではないでしょうか。
以下、不適切な保険募集により契約の取消を求めたほうがいい案件の可能性があるポイントをまとめます。
・FP資格者としてセミナーを行い、その後個別相談で担当となった者が特に保険会社との間で中立な立場ではないこと、保険募集を行う保険代理店の募集人だと説明を受けましたか?あなたは担当となった者を保険募集人だと認識していましたか?
自分はFP事務所の代表で、保険募集行為は他の組織(保険代理店)に所属して行っているケースがあります。(この手のケース、保険会社が注意喚起していないのが不思議)
・セミナー資料で卵を一つのカゴに盛るなという分散投資の説明をしているのに、変額保険の特別勘定は「外国株式100%」となっていませんか?その設定を決めたのは保険募集人ではなかったですか?
・毎年●%、複利運用でグイ~ンとふえるグラフで説明をしているのに、実際の保険設計書の解約返戻金表はマイナス100%ほどからはじまっていませんか?そのようなほぼマイナス100%からはじまる商品だと説明を受けましたか?
・不確実なことに対して、「●%で運用できます」「●年後には●万円になっています」などと断定的に説明されませんでしたか?保険設計書等にそれを印象付けるマーカーチェックやペンでグリグリ、何かの書き込みなどはありませんか?
・10年ほどで払済保険にしてその後運用していくという「10年後に払済保険にする前提」という提案で、その間だけ、高額な保険料を払う設定(前納含む)にされませんでしたか?
・IFA(●●証券会社所属という立場)として投資信託も販売できる立場ではなかったですか?
・契約締結前交付書面の説明をしっかり受けましたか?
・死亡保険金の設定額の意味(遺族年金含め)の説明を受けましたか?
・保険期間の満期設定が70歳~80歳になっていませんか?
変額勧誘目的のマネーセミナーの「闇」はセミナー参加者の欲も要因
これら(緑の枠内)は、保険会社が保険募集人に徹底研修しないといけないものですが、そのようなことはされていません。
しているのは販売につながることばかりで、セミナーで一般の人にしていることの延長です。
生命保険商品を扱っている認識、自浄作用や再発防止、顧客本位の精神がないのではないでしょうか。残念です。
全国的に無料かつケーキセットのようなおやつ(お土産)付のマネーセミナーが増えています。
それに参加する人たちは「学びたい」人も一定数はいるのでしょうが、「タダでケーキセット等をいただけるなら」「うまい話に乗りたい」「少しでも得したい」「興味あるホテルやきれいなセミナー会場だから行ってみたい」といった別の欲(心理)からセミナー参加へ申込をしていると思います。
完全にマーケティングにはまっています。
まずは、自分が勤めている会社でそのようなことをするかどうか、するならどのような目的か、を考えてみましょう。
変額勧誘目的のマネーセミナーの「闇」は、不適切な販売しかできない保険募集人の能力や倫理に問題があるのは大前提ですが、参加者の「欲」も要因といえるでしょう。
保険会社が最低限しなければならないこと
本気で顧客本位を掲げるなら次のようなことをするべきです。
マネーセミナー経由での変額有期保険の誤認契約の「再発防止対策」としてしなければならないことは
●変額有期保険は「期間の定めのある死亡保険であり、投資信託(iDeCo,NISA)と同じ仕組みではない」ということをはっきりと説明する。
●保険料累計と解約返戻金との差額(損益)推移をグラフではっきりと表示し、(パンフによくある保険期間30年や35年のケースにおいて)当商品は解約返戻率100%からはじまり、その元本割れが長期的に続き、元本回復するかどうかは運用成果による、ということを明示し、かつ説明する。
これらをきちんとし、誤認契約と訴える方々に対してはすべてその意向を尊重し、契約に至るきっかけがセミナーやリーズ経由であれば、問答無用で契約の取消をしていってもらいたいです。
お客様を泣かすことで自分が儲かる商行為
悲劇の根幹は保険会社の手数料率の設定の仕方をはじめとしたビジネスモデルにあると思っています。
今回、保険会社の手数料設定に関することも少し指摘しましたが、このようなことをし続けているから、保険営業は信頼されない、保険営業は離職率が高い、挙句の果てに巨額な金銭詐取事件も起こるのです。
すべての営業会社に新契約は必要ですが、新契約という数字ばかり追い求め、お客様を泣かすことで自分が儲かる商行為を行う組織や人は必要ありません。
しかし、そうしないときちんとした収入を得ることができない保険業界であることは否定できません。
ビジネスモデルに問題があります。
【関連記事】
変わらない生命保険募集人の使い捨て立場
実際に今回のような不適切な保険募集を受けた一般の方々の悔し涙と怒りをもう何年・何十件と見聞きしてきました。
”無料というキーワード””ケーキセットやランチ等のセミナー参加特典””セミナー会場がホテル等”という巧みな甘い仕掛けの罠にはまってしまうセミナー参加者にも一定程度の非はあるものの、その根底にある「金融を勉強したい」「人生について考えている」といった生きることへの熱心さにつけ込んだマーケテイング手法において「法令違反が数々行われている」ことが何度も起こっているのに、それを放置している行政(金融庁および消費者庁)と保険会社は国民および顧客を見ていないと言われても仕方ありません。
保険会社は再発防止対策など、真剣に行っていません。
とんでもない数の同じような不正が毎年起こり続けていることがその証拠であり、それらは保険会社の儲け主義がもたらしていることだという視点に立とうとせず、さらにそれを加速させていっています。
お決まりのコンプラ研修(アリバイ作り)をやっていればそれでいい、ってなものです。
金融庁は国民本位の仕事を
同時に、金融庁は天下りのことばかり考えずに(?)顧客本位の業務運営とやらを本当の意味で取り組むように仕事をしてほしいです。
毎年毎年、保険会社へはもちろん、金融ADRへも多くの新契約分野の苦情申し立てが行われています。
その一件がただの一件だけで終わるわけはなく、同じような申し立てがとても多くあります。
有名なかぼちゃの馬車事件(スルガ銀行)についても公になるかなり前から金融庁はスルガ銀行の不正を把握していました。
頭の良い集団なので、氷山の一角だと分かっているのに、そこを見ようとしない。
(忖度していたのかどうか)
結果、被害者・被害額が増大しました。
第三条 金融庁は、我が国の金融の機能の安定を確保し、預金者、保険契約者、有価証券の投資者その他これらに準ずる者の保護を図るとともに、金融の円滑を図ることを任務とする。
金融庁は国民本位になって金融機関にお手本を見せてほしいものです。
【関連記事】
金融庁は保険ショップよりもマネーセミナー業者こそ検査するべき
残念な報告があります。
当該保険代理店のマネーセミナーは現在も続いています・・・。
今回のテーマはこれで終了です。
尚、この件で個別にご相談はお受けしておりませんのでご了承ください。
コメント
私の娘夫婦を騙したT県のコンサルティング事業(兼保険代理店)代表に対し、ADRによる変額保険契約の取消・掛金全額返金という判断があったことを知った日本FP協会は、調査審議の結果、この代表に業務の改善勧告をしたとの連絡が最近ありました。私としては処分が甘いのではと思っていますが仕方がありません。
残念なことに、ADRや日本FP協会は、このような結果を公表しない(ADRには事例掲載はあります)ようなので、このような輩にとっては痛くも痒くもない出来事(結果)として、今後も何事もなかったかのようにFPによる無料マネーセミナー、個別相談という手口を悪用し変額保険の勧誘を続けるのではと思ってしまいます。
このブログがこのようなマネーセミナーに参加される方にもっと目に留まればと願うばかりです。
コメントありがとうございます。
いつも貴重な情報をありがとうございます。
現在、保障販売という仕事を忘れ、手数料稼ぎのために変額有期を投資商品として保険募集をしている保険会社、保険代理店、保険募集人がたくさんあります。
投資分野の素人が投資分野の初心者に、変額有期保険がつみたてNISAや確定拠出年金と同じような効果があると誤った情報を拡散し、自分たちの収益のために行っているこのような法令違反行為を伴うやり方はあってはならないことです。
金融機関(金融事業者)にリスクをとらせず、個人にリスクをとらせる国の方針の影響もあり、潜在的被害者は想像を超える多さだと思います。
ひとりでも被害者が少なくなれば・・・