金融庁は保険ショップよりもマネーセミナー業者こそ検査するべき

Pocket

通販会社系マネーセミナーを行っている保険代理店の販売実態

「契約しなくて良かったぁ」「助かりました」
お客様の言葉です。

お客様からある保険代理店に提案されていた変額有期保険(本当にマネーセミナーは変額売り一本、たまに外貨建)の設計書を見せられました。
なんと!
20代前半女性(お客様のお嬢様向け)に対して、「80歳満期」(55年以上)の変額有期保険の設計書でした。
保険料は数万円で、死亡保障額は3千万円ほど。
( ゚-゚)( ゚ロ゚)(( ロ゚)゚((( ロ)~゚ ゚

私言いました。
「こんな提案、はじめて見ました」
ここまでするとは!

某通販系会社のマネーセミナーの提携保険代理店からの提案でした。
設計書の解約返戻金の「5%」の欄にはこう書かれていました。
2年後まで解約返戻金は「ゼロ」(丸2年間ゼロってすごいでしょう?)で、22年経過して保険料累計とトントンでした。
(念のために、毎年5%運用できた場合です。繰り返しますが”毎年”です。)

なぜ「5%」か?
それを提案した女性の保険募集人がこう言っていたそうだからです。

いま10%以上でまわっていますので、5%ぐらい問題なくいけます。

設計書の5%の欄にある解約返戻金の数字にグリグリと〇印をつけていました。
さらに、「0%」「3.5%」の部分に×印をつけていました。つまり、これはないということですね。
これは、明らかに『断定的判断の提供』で完全にアウトです。

顧客に強い期待を抱かせるような断定的判断の提供による勧誘は、売買のちらに関わらず金融商品取引法上、禁止されています

このような法律も知らないのでしょう。
また、特別勘定の結果と解約返戻金の結果は連動していないということも知らないのでしょう。
商品も法律も理解していない保険募集人が「講師」「先生」という立場になっています。
恐ろしい。

しかし、22年も毎年5%で運用できたとしても元本割れ状態の商品をよく「積立投資」として提案できるものですね。
2年間の保険料は掛け捨て状態です。
リスクのある商品で、損益率マイナス100%からの2年後のスタートラインって・・・。
これが保険募集人のレベル?
これが保険代理店が行うマネーセミナーのレベル?
金融業界から笑われますね。

変額有期保険は個人のお客様が契約する意味があるのか!?

なぜこうも変額有期を提案するのか。
販売する保険募集人、保険会社側の立場でみてみましょう。
変額有期保険の死亡保障部分は、「定期保険」(一定期間の保障)と原則同じです。

2016y09m08d_073457733

変額有期保険は死亡保障として見た場合、明らかに保険料が高すぎます。

万一が起こった場合、死亡保険金(基本保険金+変動保険金)が支払われるだけで、解約返戻金が合わせて支払われるということはありません。 契約期間(一定期間)が終了すると、保障はなくなります。
それまでの保険料は、定期保険の何倍も負担していることになります。
ということは、保険会社側から見た場合、死亡率は同じですので定期保険と比較して非常に良いことになりますね。(保険料累計が多い)
解約返戻金は、そもそもお客様の自己責任というカタチです。保険会社側にリスクなし。
3.5%という予定利率での設計は解約返戻金をふやしたい目的の契約者にとっては有利ではありません。そもそもリスクをとってふやしてほしいと思うなら他の商品と同じように1.5%前後の水準で設定するべきです。(つまり、死亡保障メインの商品開発だということでしょう)

この結果、保険会社側から募集人に支払われる手数料は高額になるでしょう。

金融庁は早急に取締りを行わないと被害額が拡大する一方に

現在、金融庁は保険代理店が手数料目的の販売をしないように指導していこうとしています。
それならば、金融庁は全力で検査をしないといけませんね。
このような「特定契約商品」(変額)を中心に販売している保険代理店を。
ただそうなると、とんでもなく大騒ぎになることが予想されます。社会問題化する可能性もあります。

「断定的判断、不実告知、不利益事実の故意の不告知をしていませんか?」
「解約返戻金の5%の欄の意味は?」
「運用関係費用と保険関係費用がかかることをわかっていますか?わかった上で解約返戻金のことを説明をしていますか?」
「保険関係費用がだいたいでも、どれほどかかるか理解していますか?」
「10年以内の解約控除のインパクトを理解していますか?それを契約者に伝えていますか?」
「この70歳満期や80歳満期の変額有期の契約の意味は?」
「変額年金も取り扱えるのに変額有期や変額終身を提案した意味は?」
「死亡保障がいる?それなら定期保険や収入保障は提案しましたか?」
「金融商品仲介業者として投信が販売できるのに、なぜやたらめったら変額?」
「他の個人年金や低解終身などを提案しましたか?」
「そもそもこれらの契約者にすすめた変額有期・変額終身は契約者ニーズに合っていますか?」
等々。

契約の取り消しを求めるかどうかは自己責任

なぜ、この商品をすすめたのかを説明してもらいましょう。
もしもデタラメだった場合は、苦情どころではなく「契約の取り消し」を求めることになるでしょう。
積立投資としてすすめられた変額保険は、契約の取り消し(クーリングオフではない)を求めていける事案です。

もちろん、ICレコーダーを目の前に置いて。

こちらのお客様、契約する前に私に相談をされて本当に良かったと思います。
実は保険料がとんでもなく高額だったので・・・。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする