変額有期保険勧誘目的のマネーセミナーの闇②

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悲劇のはじまりはセミナー後の個別相談参加

セミナーのあとには必ず無料の個別相談案内という名の悲劇への誘導があります。
主催者側の個別相談の目的は、当然変額保険を筆頭に保険商品の勧誘です。(それ自体を否定するものではありません)
もちろん参加者側はそのようなことだとは思いもよりません。
なぜなら次のような言葉で個別相談へ誘っているからです。

個別相談は、セミナー内容を振り返り、あなたのライフプランを確認し、気になることがあれば解決策をご案内します!
次のような方は是非!
・セミナーの内容をもっと詳しく知りたい
・ライフプランニングをしたい
・効率的な貯蓄方法を知りたい
・加入している保険を見直したい
・老後資金はいくら必要なのかを知りたい


普通の人は、これが「罠」であり、個別相談が変額勧誘の舞台になっているとは思わないでしょう。
セミナー講師は、自分が保険代理店に所属している、また保険募集人であることを明言せずに「ファイナンシャルプランナーです」と言っているのですから。
ここは立場を誤認させる(のはいけない)ことをあえて行っているのですから、保険会社(代理店の営業担当者に問題があるといってもいいでしょう)や保険代理店はしっかりと指導すべきところです。

”無料というキーワード””ケーキセットやランチ等のセミナー参加特典””セミナー会場がホテル等”という巧みな甘い仕掛けの罠にはまってしまうセミナー参加者にも一定程度の非はあるものの、その根底にある「金融を勉強したい」「人生について考えている」といった生きることへの熱心さにつけ込んだマーケテイング手法において「法令違反が数々行われている」ことが何度も起こっているのに、それを放置している行政(金融庁および消費者庁)と保険会社は国民および顧客を見ていないと言われても仕方ないのではないでしょうか。

過去何度も再発防止の報告書を(実際は適当に)書いてきた、求めてきたでしょう。
それを実践していない人たちがテンコ盛りいるので、被害者が後を絶たないです。

セミナー講師は保険相談以外は極めて不得意?

ご相談者は個別相談の冒頭、担当であるセミナー講師に「生命保険については見直しや検討をする意思はない」ことを明確に伝えたうえで、個別相談の目的の一つ、ご自身の公的年金と退職金(確定拠出年金含む)の効果的な受け取り方について尋ねたそうです。
退職金には退職所得控除があるのは広く知られていることですが、確定拠出年金と併用して受け取る場合、その額や年数によっては控除が使えないケースが発生します。
また、それぞれの人の退職時期や金融資産状況によって公的年金も繰上げ繰下げをどのように考えていけばいいのか、それに伴い、社会保険料(介護保険料含めて)はどうなっていくのか、このようなことをFPという人に相談したかったということですが、その担当者は次のような回答をしたそうです。
「そんな先の話のことなんて分からない」(・△・)
だったそうです。

こんな回答ってアリ?
これが全国規模の保険代理店のマネーセミナー講師のFPとしての能力であり、実態です。
しかし、それは頷けるところでもあります。
ただ”変額を売りたいだけ”の保険募集人は、保険会社が教えてくれたセミナーコンテンツや情報を覚える(暗記する)ことと変額を提案しまくることが仕事だと思っているからです。

先のことは分からないと言って一切シミュレーションもしなかった保険募集人、驚くべきことに変額の将来の輝かしいリターンについては分かっていたようです。w(それはこの後の話)

後に、ご相談者はいったい何しに行ったのかと振り返られていました。

セミナー講師は最初から最後まで保険募集人と名乗らずに保険の勧誘を実施

ご相談者がわざわざ交通費と時間を使って個別相談に参加した一番の相談内容をあっさりとかわし、自分の得意な生命保険の話へ誘導していった保険募集人は変額保険を誤認させる話法(法令違反満載)を展開していきます。
しかし、ご相談者は「生命保険については見直しや検討をする意思はない」と告げています。
これも後々の契約取消トリガーのひとつとなっていきます。

保険募集人は、名乗り・権限の明示といって保険募集を行うにあたり、所属保険会社名と生命保険の契約締結の媒介を行う者であることを目の前のお客様に認識させないといけません。
特に、FPとしてセミナーを行っている者(自身はFP会社をし、保険募集は別会社など)はその立場を誤認させる恐れが十分にあり、そこは徹底しなければなりません。


このセミナー講師は、自分の所属している会社が保険代理店だということも、自分が保険募集人だということも、また自分と保険会社の関係性といった明示も一切行わないという、個別相談のはじめから違反をしていたことになります。
簡単なことを違反した者は次から次へと違反をしていきます。
手数料目的で変額売りをする典型的な保険募集人像ともいえます。

セミナーと個別相談の説明が異なる典型的な例

この手の保険募集人は、変額保険を誤認させることを目的としています

変額保険とは
「完全に元本割れないとはいえなくとも、ほとんどリスクなく、お金がとてもはやくふえていく貯蓄商品、そこにおまけとして死亡保障もついている」

変額有期保険をこのようなイメージの商品だと思っている方は、明らかに誤認させられています。
このように思ってしまっているのは、誤認話法によって洗脳させられているからです。
(この時点で契約取消に動けることになります)

洗脳(個別相談)の場ではおかしなことが展開されていきます。
例えば・・・
セミナーではよく「卵はひとつのかごに盛るな」という話がされ、参加された方は聞かれたのではないかと思います。
これは分散投資の説明で使われる投資格言ですね。
これをセミナーで堂々と説明した人が、セミナーを離れた洗脳の場においては
「外国株式100%がオススメ!!」(これは分散投資ではない)
と言っています。
このセールストークは変額保険を売りたい保険募集人にとても多いです。
というより、パターン化しています。
この手の人は、「過去こうだったからこれからもこうなる」という思考回路をしています。
卵の話は「過去はこうであったとしても将来どうかは分からない」という前提に立っていますので、メチャクチャな思考です。
同じ経験をされた方も多いのではないでしょうか。
セミナーでは台本通り分散投資をすすめていますが、台本がないところではそれとは異なる説明をしている典型例です。
投資の本質とコンプライアンスについて理解度が低すぎるのでしょう。

セミナー経由の変額契約で多いのは「特別勘定:外国株式100%」という設定です。
(保険証券に記載されていますので、ご確認ください)

経験上、変額保険契約者自身が申込時に「外国株式100%」に設定するのは考えられません。
そのレベルの方であれば、そもそも変額の契約をしないからです。
では、どういう経緯で「外国株式100%」となっていくのか・・・
十中八九、保険募集人主導で設定していくことになります。(この時点でのコンプラ違反疑惑については置いておきます)
上記思考回路が働いているセールスマンは、その「特別勘定:外国株式」を崇拝しているかのように、運用会社を褒め、自慢気に語ります。
「これがいい!この外国株式100%が凄い!!」
それに変額保険を契約することが成功者(お金を投じる契約者も、そによって手数料を得られる保険募集人も)への近道かのように保険募集人自身が洗脳(洗脳するのは保険会社の代理店営業)されきっており、設計書やパンフレットにある6%以上のリターン(満期保険金・解約返戻金)となると、そのように設定しないといけないので、そこにはもはや適合性の原則やその確認等の概念は存在していない状態と考えられます。
同時に、リスクがある商品、リスクは契約者に帰属するという認識もセールストークからいってもないでしょう。

死亡保障の説明はなく、ひたすら投資商品としての説明に終始

毎月●万円を●%で運用するとグイ~ンとこ~んなに資産がふえるのですよ!!すごいでしょう!!!

という”投資”を固定金利で語ってしまうリテラシーの持ち主たちが、変額保険の設計書にある解約返戻金推移表を見せながらこのようなプレゼンを行っていくと、当の保険募集人にも「変額保険が死亡保険」だという認識がなくなっていき、必死に「外国株式100%一択でいい」「長期に株式が上昇すると♪」「ドルコスト平均法はいい!」「複利はすごい!!」とかを悦に入って語っていき、ナルシストか証券マンにでもなった気分になっていくのでしょう。

事実、ご相談者は「死亡保障の話は一切聞かされず、外国株式100%で10%以上の運用ができている!!!」と、目の前にいるFPが目をキラキラさせながら饒舌にすすめているこの
●●保険(変額)は、リスクなく、お金がとてもふえる貯蓄商品、そこにおまけとして死亡保障もついているとても素晴らしい金融商品だと、文字通り洗脳されていったとのことでした。
誤認とはこのように行われていきます。

保険会社には本物の顧客本位とコンプラ遵守が必要

保険会社にもかなりの問題と責任があります。
この「特別勘定:外国株式100%」設定で申込書がきた場合、成立前にヒアリングや確認を実施しない保険会社に「顧客本位」の本質は理解できないでしょう。
そもそもの保険商品をつくり、手数料体系も決め、過去多くの不祥事例(サラリーマンですから再発防止対策等もとりあえずしています)も承知しており、その商品を普通の人(セミナー経由では多くは独身女性)が「毎月●万円もの高額保険料で、●年間という長期間で、さらに●千万円というとんでもない高額な死亡保険金で、その死亡保険金受取人が親」といった申込書を普通に「すごい契約ですね!ありがとうございます!!」(保険会社の代理店営業が保険代理店の保険募集人にお礼をいうイメージ)として受け付けるとは、恐るべきコンプラ意識弱弱で、顧客本位も建前でしかない大企業サラリーマンたちの仕事観だと思っています。

続く・・・

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