普通の人には「つみたてNISA」よりも貯蓄が良いという仮説

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NISAは利益発生口座ではない

金融庁が必死に「つみたてNISA」を広報しているのは滑稽です。
以前、「NISAは利益発生口座ではない」という記事を書きました。
NISAは利益に対しての課税がされない口座であり、利益が発生する口座ではありません。
金融庁やメディアの情報、一般の方のブログ等を見ると、あたかも

NISAは利益が発生する魔法のシステム

かのように感じてしまうところがあります。

とりあえず、どれだけリターンの可能性があるのか仮説を立てよう

つみたてNISAは「最長20年」であり、かつ「年間40万円(月約3万3千円)」という拠出上限額です。
この金額を普通に拠出できる人は、それだけでも立派だと思います。^^

前提条件として、拠出額MAX800万円で20年の長期積立投資というストーリーになります。

シンプルにイメージしていきましょう。
あなたは20年間、毎年40万円を拠出した合計800万円がいくらになると思いますか?
いくらになると思ってつみたてNISAを行いますか?

1,000万円?
1,300万円?
1,500万円?
2,000万円?
もっと?

仮に、「1,000万円」としましょう。
ということは、200万円のプラス(1,000万円-800万円)です。
40万円の税金を払わなくてもよくなりますね。うれしいですね。
20年でこのリターンということは、単純計算で「毎年3%での運用、信託報酬0.5%」ができてのことです。
約25%増です。
仮に、「1,300万円」としましょう。
ということは、500万円のプラス(1,300万円-800万円)です。
100万円の税金を払わなくてもよくなりますね。うれしいですね。
20年でこのリターンということは、単純計算で「毎年5%での運用、信託報酬0.5%」ができてのことです。
約60%増です。
仮に、「2,000万円」としましょう。
ということは、1,200万円のプラス(2,000万円-800万円)です。
240万円の税金を払わなくてもよくなりますね。うれしいですね。
20年でこのリターンということは、単純計算で「毎年9%での運用、信託報酬0.5%」ができてのことです。
約150%増です。

いかがでしょうか?
上記の3パターン、どの水準であれば可能だと思われますか?
どの水準も100%可能でも不可能でもありませんが、私たちにとってはどれだけの確率で可能かということがポイントではないでしょうか。
その確率(期待値上下の確率)をきちんと示して積立投資を説明する業者はほとんどいません
(・~・)

まず、「20年の積立投資で800万円が1,000万円になる」には、単純計算で「毎年3%のリターン」が想定されます。
(金融庁をはじめ金融業界の想定はこのワンパターンのみ)
せめて、金融庁ぐらいはきちんと統計学による確率分布を示すことをすべきですね。
日本のトップクラスの高学歴集団の仕事ぶりを見せてほしいところですが、市井の人々への情報はその程度でいいってなものなんでしょうね。
(・へ・)

毎月拠出するお金、それ自体があなたが運用した結果

私は実務家として、それを目指すのであれば、先にこう問いかけてみます。

毎年40万円拠出することができるのなら、もう少し頑張って50万円拠出できませんか?
その時点で、20年後に1,000万円は確実に到達できます。
毎年40万円も積立投資に拠出できる力があるあなたなら、あと年間10万円ほどはやりくり可能ではないでしょうか?
そのやりくりででてきた10万円はあなたが運用したのと同じことです。

そもそも、このリターンの説明は固定金利での説明となっています。(不適切!)
3%のリターンには、7~15%のリスク(標準偏差)は想定しておかなければなりません。
それはどういうことかと言いますと・・・

そしてこういう持論を伝えます。

毎月1万円の積立投資よりも毎月2万円の預金のほうが勝ちますよ!!
なぜなら、積立投資で2倍になる可能性は極めて低いと思っているからです。

【関連記事】
長期積立投資は誰でも成功するらしいが本当か?

私個人は、

これから積立投資をしていく普通の日本人が、20年という長期積立投資で「50%増」(=毎年4~5%のリターン)という成果をだすのは、かなり難しいだろう。

と同時に、

そもそも20年以上の長期積立投資で「50%増」はおろか「100%増」というリターンが普通に期待できるような投資環境になっていくとしたならば、投資環境は誰にとってもわかりやすく良好で、固定金利商品にも恵まれてもおり、さらに一括投資のビッグチャンスが訪れていることにもなり、積立投資自体が機会損失の投資方法となるだろう。

という仮説を立てています。

積立投資の限界と矛盾

20年の積立投資をした結果、投資成果が50%増になっているということは
20年後の売却時の基準価額が平均買付単価(20年間)の1.5倍(※)になっているということです。
※日経平均を買い付けていったとして、今日までの平均買付単価が2万5千円だとした場合、明日売却する日経平均は37,500円だということです

私は積立投資のリターン成績には限界があると思っていますし、たくさんの矛盾があるとも思っています。
証券業界、FP、保険代理店、金融庁らは、積立投資に限界ならびに矛盾がないかのようなバラ色の未来を喧伝していますが、それであれば、私が指摘している
夢物語と詐欺話と積立投資話と
ドル・コスト平均法はリスク逓増投資法
30年の長期積立投資で2倍・3倍になるシミュレーションを見せてほしい
についてきちんと説明をしておく必要があるのではないでしょうか。
残念ながら、それらについて解説されたものを見たことも聞いたこともありません。

しかし、それらをきちんと説明しておくことは重要事項(金商法としても積立投資の説明はおかしいと感じています)としても必要だと思います。

・積立投資のリターンを固定金利で説明する行為
・リスク(σ)・信託報酬を考慮しないで説明する行為

これらをきちんと行っているとは到底言えない業界、過去から現在において「おかわり営業」をメインにしていた業界、もっと「国民」に対して真摯に向き合ってほしいと思います。
つみたてNISAにしろ、確定拠出年金(iDeCo)にしろ、多くの投資初心者に対して、その方たちが日々一生懸命働いて得た大切なお金をリスク性資産に投じろと言うのであれば。

現在は緩和マネーで相場環境が良いので一般に暴露されていないことがたくさんあります。

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