NISA、2014年1月からはじまる「少額投資非課税制度」です。
この名称が誤解を与えているのではないでしょか。
「少額投資非課税」ではなく「利益非課税」です。
毎年100万円を上限とする新規購入分を対象にその配当金や売買益等を最長5年間非課税にする制度です
個人投資家の皆さん、あなたは過去の証券投資でどれほど利益をあげましたか?
各種データによると、個人投資家の8~9割は投資累計で損をしていると言われています。
また、証券投資をはじめた初心者は1~2年程度でその資金のほとんどを失っているとも言われています。
それが、NISA口座を開設すると変わるのでしょうか?
普通に考えましょう。
変わるわけがありません。
がっかりしたことがありました。
*NISA口座を使って積み立て投資をしよう
ということを平気で言っている人たちがいるのです。
このコラムをお読みの方はご理解されていることと思いますが、積み立て投資は「お金を大きく増やす方法ではない」です。
それ(積み立て投資)と「利益非課税」の考え方は矛盾していることにもなります。
なぜなら、1円も益税を払いたくないのなら、利益にこだわる投資をするべきです。
利益非課税というのは、上限100万円までの投資に対して発生する利益20%を払わなくてもいいということですから、 例えば、年間100万円までの投資原資に対して30万円の利益がでた場合に6万円を払わなくてもいいということです。
誤解を恐れずに申しますと、この100万円に対して6万円の税金(例えばです)を払うのが嫌だという人なら、ドル・コスト平均法を使う投資をするのは、はたして意味があるのでしょうか。
100万円の投資で30万円の利益を目指すような方なら、100万円の投資額で6万円なんて簡単に上下します。
この意味が理解できないようであれば、そもそもNISAを理由にマーケットに入ってくるのは危険ではないかと思います。
先般、日経新聞の夕刊に『小遣いでNISAー下ー』がありました。
内容は、NISA口座を使って投資信託の積み立て投資を推奨するものでした。
その翌日の日経新聞にも同じく『マネー&インベストメント』にも続きのようにでていました。 「NISA選びは投信選び」 積み立て投資の推奨でした。
私もその記事にでてくるFPたちの本を何冊か買って読んだことがありましたし、本人のセミナーを聞いたこともあれば、名刺交換をした方もいました。 彼らは全員NISA口座で「積み立て投資」をすすめています。 絶対NISA口座を開設して積み立て投資をしないといけないという論調です。 この方たちは私がセミナーで話をしています、 ”売り手側の立場でしかものを言わない” 典型的な人たちになっています。 多くは証券会社側からお金をもらうという仕事をしている立場でしょう。
投資信託で積み立て投資をする目的が将来の”老後資金”であるなら、「確定拠出年金(401K)」です。
働き方の関係でDC(日本版401K)ができない方は、”特定口座”で行うべきですし、確定拠出年金ができない働き方をされている方には、そのできない理由をきちんと考えてライフプランしていくことが必要ではないでしょうか。
私は、DC(日本版401K)ができない働き方をされている方は、そもそもあえて老後資金づくりのために積み立て投資をしなくても良いのではないかとさえ思っています。(理由はここでは書きませんが)
※DC(日本版401K)ができない働き方
専業主婦
公務員
勤め先に企業年金制度があり、DC(日本版401K)制度を設けられていないサラリーマン
NISAは、期間が決まっています。
ここに時限爆弾が埋め込まれているのです。
利益非課税の期間が決まっているということは、この制度は投資家のためではないということです。
証券業界のためになっている仕組みだということです。
それにしても、なぜ「確定拠出年金」をきちんとすすめるFPが少ないのでしょうか。
老後資金のために積み立て投資をしようという意見は良く聞こえてきます。
そのために「確定拠出年金」をすすめないというのは、はっきり言って証券会社のひも付きか手数料(販売手数料・信託報酬)のためでしょう。
よく、生命保険については「遺族年金がある」だとか「高額療養費制度がある」だとか、社会保障制度があることを前面に押し出してきているFPたちも、殊老後資金づくりの話になると、とにかく「公的年金(社会保障制度)の不安」を煽り、積み立て投資という自己責任論を繰り広げてきます。
まったく彼ら机上論FPの意見というのは信頼できたものではありません。
はっきり言いまして、NISAは、”短期売買専用口座”です。
短期間でキャピタル・ゲインを目指すためのものです。
それでいいんです。
そういう制度ですから。
繰り返しますが、個人投資家のほとんどは”投資の負け組”状態です。
NISAとか言う前に、「銘柄選択」が大切だということを忘れないようにしてください。
特に、投資信託は「銘柄選択」がすべてです。
もっと言うと、買いのタイミングと売りのタイミングです。
「ドル・コスト平均法」という銘柄はありません。
NISA口座は、利益発生口座ではありません。
このFPたちもNISAの真の目的を理解しようとしないのか、本当の意味での投資家の立場に立って資産をふやそうと思っている人ではないのではないでしょうか。 何かNISAって、世の中「投資ゲーム」だと思っているように感じます。
投資家の立場で、投資の理由が”投資でプラスになるなら”っていう人はいるでしょう。
売り手側の立場で、投資をさせる理由が”投資でプラスになるから”って言える人はいないでしょう。
投資家の立場で、投資の理由が”非課税だからリスクのある投資をはじめる”っていう人は普通はいないでしょう。
売り手側の立場で、投資をさせる理由が”非課税だからリスクのある投資をはじめてもらう”というのはあるでしょう。
NISAは、”非課税だから投資をはじめる”と言わせています。
こういうのを”洗脳”といいます。
投資って、”リスクのことをしっかりと伝えないといけない”のですが、殊NISAになるとそこは曖昧にさせているように感じますね。
証券投資の世界、ほとんどの投資家が損してきています。
証券投資の世界で飯を食っている人、過去を本当に反省してきていない、顧客のことを考えていない体質が続いていると思えるのは私だけでしょうか。
下記の驚くべきことを聞きました。
積み立ての長期投資をすすめている、あるFP会社が特定口座のほかにNISA口座を開設させているのです。
そのFP会社は、お客様が投信を少し利益がでたときに売却した(投資をやめた)際、ある意味、非難していました。「少しの利益でなにやめてんの!どうしようもないな」みたいな感じです。
投資をはじめるのもやめるのも自己責任でいいはずなのに、投資をやめる人を非難するなんておかしすぎます。
きっとFP会社からすると、「信託報酬」がなくなるから嫌だったのでしょう。
もうムチャクチャです。
NISA口座を使えば利益が発生する、発生しやすいということはありません。
そもそもがNISAは利益発生口座ではないのですから。
最後に、あなたが投資をすることはまったく悪いことではありません。
あなたが毎日、一生懸命努力して得てきた大切なお金です。
これだけは忘れてはいけません。
あなたに投資をすすめる業者は、”仕事”をしています。
まるで宗教のように、まるでネットワークビジネスのように。
あなたをカモにしようとしている人たちがいることを忘れないようにしてください。
そこからがリスク管理です。