IFAの収益源分布から見る「?」

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日経新聞電子版に『独立系金融アドバイザー、厳しい収益環境』(2018年11月21日)という記事がありました。
それについて、個人的に補足をしておこうと思います。

IFA個人単位の預かり資産の平均
6億3163万円

IFA個人単位の預かり資産の中央値
1億円(全体の半分が0~1億円)

まず、金融ビジネスの世界では、これら預かり資産を何年で保有したのかがポイントとなります。
「1年」と「10年」では全く違います。
セルサイドにとっての投資信託販売活動の収益魅力は、なんといっても信託報酬です。
つまり預かり資産が増加していくことによる安定的な収益確保です。
だから「投資はやめないで続けましょう」となります。

IFAが投資信託を販売するためには(IFAビジネスを行っている)証券会社に所属することになります。
(”独立系”とは謳っていますが、所属証券会社の取扱商品と取引基準に影響を受けます)
IFAが得る仲介手数料は基本的に、そことのおおよそ折半~1/3と考えると良いでしょう。
具体的にどれほどかみていきましょう。

「信託報酬:1.5%」(IFA・証券会社・運用会社が受け取る仕組み)で50%とすると
6億円×1.5%=900万円・・・450万円(年間、ずっと)
1億円×1.5%=150万円・・・75万円(年間、ずっと)

もちろん、それまでには「販売手数料:3%(とすると)」(IFAと証券会社が受け取る仕組み)が発生していますので、50%を受け取った場合は
6億円×3%=1,800万円・・・900万円(一回のみ)
1億円×3%=300万円・・・150万円(一回のみ)

を稼いでいることになります。

【関連記事】
巷のIFAから提案される投信の信託報酬は高すぎる?

記事の中では、金融仲介業者としての年間売上高の中央値が300万円となっていましたので、販売手数料の割合が大きく、信託報酬の割合としてはそれほどでもないのかも?
風潮として積立投資を推していると思いますが、相場環境を利用した「おかわり」営業がメインになっているのかもしれません。

また、IFAビジネスを行っている証券会社は、IFAから登録料等の名目で費用をとっていますので、IFA個人は年間けっこうな手数料を証券会社に支払っていることと思います。(全社ではないかもしれません)
つまり、証券会社は「IFA自身からも儲ける」ビジネスモデルを展開していることになります。
これにより、IFAは否が応でも高額な販売手数料を得ることができるアクティブ投信を販売することになります。
そうでないと、やっている意味がありませんから。

先日記事にしました「保険商品を販売する営業マンが受け取る手数料が高い?」でも指摘していますが、金融業界はそこで働く有名企業のサラリーマンは高給取りですが、今回取り上げたIFAなど、零細企業の金融商品販売員は、日経新聞の記事タイトル通り
厳しい収益環境
です。
金融業界は販売現場にいる人たちの待遇改善をすべきところですが、そこには目を瞑っています。
金融庁はそういうことを知ってか知らずか、まったく目を向けようとはしていません。
そのような背景もあり、「顧客本位の云々」というお題目はただのジェスチャーで終わりになっていくでしょう。

「平均6億円」「ほとんどが1億円以下」(上記枠内参照)ということですので、IFA個人レベルでは到底安定的な収益とはいえないようですし、他人様にリスク投資をさせるだけの経済的・精神的・経験的な面での素養があるのかどうかとも考えることができます。

そのような視点で、
ネットで語っているファイナンシャルプランナー(IFA、保険営業)たちを見てみるのもいいでしょう。

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