リスクがある世界は期待リターン通りにはいかない③-2

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前回の補足です。

長期というなら、一括投資よりも積立投資だというのは矛盾する

投資期間:30年

投資元本:10,000,000円(一括投資)
投資累計元本:9,999,990円(積立投資:333,333×30年)

10%の上昇と5%下落を繰り返し

信託報酬:0.5%

同じ時期、同じようなリターンとリスクであれば30年後はこうなります。

一括投資
一括投資・・・1,665万円

※積立投資の30年後の水準に到達するのは、11年。

※いま1千万円なく、1/3(いま333万円、11年後にまた333万円、22年後にまた333万円)の資金を11年ずつ3回と仮定しても良いでしょう。はじめの333万円は30年後に1.6倍になっている。次の333万円は20年後に1.4倍になっているなどと考えられます。

※これは典型的な机上の空論です。皆さんもそう思うでしょう。であれば、同時に積立投資のシミュレーションも机上の空論だと気づきましょう。
積立投資
積立投資・・・1,270万円

はい、わかっています。
「下の図のようなL相場になったら積立投資が威力を発揮するんだ!」
ということを言いたい人たち、言っている人たちがわんさかいます。



この図は、ドル・コスト平均法を説明する際に使われていた非常にレベルの低い図です。
「1万円が2千円」になっています。そして「2千円が5千円」になっています。
これもヒドイですが、「1万円が500円」になるものも見たことがあります。
まあ、とにかく非常識なシミュレーションだといってもいいでしょう。
私はこのようなシミュレーションをする人たちをまったく信用していませんし、このようなシミュレーションは投資初心者を煙に巻いたり、ある意味騙すためにあるとも思っています。
ドルコストの典型的なミスリード手法です。

平気でこのような下落図(1万円→2千円という80%マイナス)を作成していますが、インデックス型を想定しているのなら世界中の経済が壊滅状態だと想定できますが、そういう話で良いのでしょうか?

基準価額が1万円から2千円に下落したような投資信託(インデックス)が過去にどれだけあったのでしょうか?

ここまで下落した投資信託について償還を想定(想定していればここまでの下落でシミュレーションなんてしないでしょう)しないのはなぜでしょうか?

仮にアクティブ型投資信託だったとして、「2千円」まで下落した投資信託(相場大崩れか運用が下手すぎだったということ)が「5千円」(2.5倍)まで戻るということですが、それってどのくらいの確率で起こる可能性があるのでしょうか?

このような大暴落の中、ずっと積立を継続するという想定はいかがなものでしょうか?
図の例でいくと、毎月毎月買えば含み損状態が何年も続くことになります。
精神面がズタズタになると思いますが、そういうことはそっちのけなのでしょうか。
積立投資をしていたとしても「1万円」が「2千円」にまで下落した場合、「一括投資」で買いコストを下げさせるアドバイスをするべきでしょう。
それが積立投資コンサルティングの大切なポイントのひとつです。

「1万円」から「2千円」は「マイナス80%」です。
そもそもそのぐらい「悲観的な経験」をしないと積立投資は儲けられないということでいいのでしょうか?
であれば、ある程度下落する(移動平均、平均買付計算)のを待つ方が賢いのではないでしょうか?
「2千円」から「5千円」は「プラス250%」(2.5倍)です。
本当にデタラメなシミュレーションだと思います。

「とんでもないくらいの大きな下落⇒上昇」という積立投資に有利になるシミュレーションをしても意味がありません。

なにより、
2千円まで下落という話をするなら、積立投資であろうと、一括投資であろうと、その時点でとにかく一括投資をすすめることを推奨することが必要です。
それが投資をすすめる側がしなければならないスタンスです。
それができないのならナンセンスです。

シミュレーションで示すのなら、30年などの長期で「平均買付単価と売却時の基準価額の差が2倍や3倍になる」(4%~6%複利などという説明が多い)ものを見せてほしいですね。まともなもので。
そして、そのような世の中になるのであれば、一括投資をしなくてもいいのか?固定金利商品はどうなっているのか?賃金はどうなっているのか、住宅ローンなどはどうなっているのか?も示してほしいものです。

本当にどのような世の中になっていると想定しているのでしょうか?
いまのような世の中の継続で、投資環境だけがずっとバラ色になっていくと思っているのでしょうか?
それって、この数年の世界的な異次元緩和の影響を受けすぎです。
残念ながら、物事を一方向からしか見ていない典型だと言えるでしょう。(*´Д`)

自分がするのは問題ありません。
他人様が一生懸命に働いて得た大切なお金を自分の利のために利用しようとするのはネットワークビジネスと同じ仕組みです。

積立投資については、行動経済学を使ったマーケティングが駆使されています。

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