固定金利4%で確定拠出年金を説明する投信会社トップの残念さ

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PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)で
「確定拠出年金を預貯金か保険で構成」退職時、老後資金の少なさに愕然とする人の特徴
という記事がありました。
セゾン投信・代表取締役会長CEOの中野氏です。

記事のタイトルからしても自分たちの世界(トウシ趣味村)にいない人たちをバカにしたような感じがしますね。
彼の言っていることは、その立場や肩書からいっても不適切ですが、これらが野放しになっている日本の金融業界は問題です。
今回指摘しておきたいところは、彼のいつものパターンですが、

企業年金がない会社員が毎月上限拠出額である2万3000円を30年間拠出して運用を続けるとした場合を考えてみましょう。世界経済の成長を相応に取り込む国際分散型のバランスファンドで長期的な成長軌道から得られるリターンを年率4%と仮定すると、拠出総額828万円が30年後に1500万円超にまで育ち

(出典)PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
「確定拠出年金を預貯金か保険で構成」退職時、老後資金の少なさに愕然とする人の特徴


いかがでしょうか?
「4%」って固定金利のようです。
私の仕事では、このレベルで話をしてしまうと法令違反を問われますが、彼は違うようです。

>リターンを年率4%と仮定すると

それに対してリスクを15%と仮定して、確率シミュレーションをしてみましょう。

【期待リターン4%、想定リスク15%、30年の積立投資、1万回のモンテカルロシミュレーションによる可能性】


期待リターンはオレンジラインなのですが、彼の言う「1500万円超」(1500~1599万円と想定)になる可能性は数%程度です。
平均値よりも下になる中央値(ちょうど真ん中)は、1300万円ほどです。
半数は、中央値よりも下になります。
しかしながら、(中央値よりも下になる)最頻値(緑ライン)近辺に頻度が固まっていますね。
30年の積立投資を行うと、このあたりになりそうだと想定しておくほうがよさそうですね。
元本割れも17%弱あります。

>拠出総額828万円が30年後に1500万円超にまで育ち

1500万円、いえそれ以上にまで育つ可能性(上記のシミュレーションでは、1億円になる場合も0.01%)はありますが、60%以上の確率でそれ以下になりそうです。

この程度の説明は必要でしょうね。

そのほかに書かれている内容もツッコミどころがありますが、今回はここまでにしておきます。
残念です。

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