公的年金について知っておくべき情報

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厚生労働省の職員に適正はあるのか?

いま厚生労働省の『毎月勤労統計の不適切調査』が問題となっています。
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この話は、一事が万事の典型でもあると思います。
と同時に、そこで働く人々の適性の問題としてもいいでしょう。

年金受給開始年齢を70歳に繰り下げする話

今回は、その厚生労働省が管轄している私たちの公的年金についてです。
巷間、「70歳まで支給開始を遅らせば最大42%増額されるからそうしよう」というそれぞれのライフプランを無視した机上の空論を喧伝するFPや市井の人々が増加しています。
それらの話について、警鐘を鳴らす情報がありますのでシェアします。

日本経済研究センター「新春・社会保障クイズ 私の年金、得する!損する?」(明治大学教授 田中秀明氏)

いくつかのポイントを挙げておきます。

70歳に繰り下げしている受給者は全体の1%
繰延している期間は、加給年金・振替加算が支給されない
在職老齢年金制度により年金の一部または全部が支給停止されると、支給停止相当分が増額対象にならない
政府は人生100年時代と言って、より働くことを奨励しているが、在職老齢年金制度は働くことを奨励する仕組みにはなっていない
在職老齢年金制度について、年金の減額ではなく課税対応するべきである
そもそも65歳以上の人で働かず自分の金融資産だけで暮らすことができる高齢者はどれくらいいるのか
70歳まで繰り下げた場合、82歳まで生きて、65歳からもらいはじめた場合の損益分岐点となる

などです。

厚生年金適用拡大と国民年金との不公平さ

もうひとつ鋭い指摘がされていました。それは
「パート労働者への厚生年金適用拡大は、国民年金との不公平が拡大する」
ということです。

簡単に説明するとこうです。

パート労働者への厚生年金適用拡大で、標準報酬月額88,000円の場合、労使併せた保険料額は16,104円となり、国民年金保険料より明らかに安くなる。つまり、厚生年金に加入すると、国民年金の保険料より負担が安いにもかかわらず、国民年金より多くの年金給付を受給できることになる。制度が違うと言ってしまえば、そうかもしれないが、同じ公的年金制度で、こうした不公平は許されるべきだろうか。

筆者さんは、パート労働者へ厚生年金の適用を拡大するべきではないと言っているのではありません。

厚労省は、厚生年金のパート労働者への拡大が、雇用の拡大や年金受給額の増額になると宣伝しているが、国民年金との公平性について正しく説明していないことが問題である。これは、単なる技術的な問題ではなく、日本の年金の構造問題に関係するのである。

>正しく説明していない
これは、冒頭の「毎月勤労統計」についてと同じです。
毎月勤労統計の不適切調査について、厚労省は2018年1月調査分以降の復元処理について数値が連続しなくなったことの説明をしていませんでした。
(一一”)

公的年金制度について、複雑化させて国民にわからないようにするのは、今後いざ支給する際の役所等での現場レベルでも遅延や間違いにつながる可能性もあるのではないでしょうか。

なにより、生活保護以外の高齢者の貧困問題は国民年金のみ受給者が多くいるということが大きな要因かと思いますので、まずは国民年金のみ受給者をできるだけ作り出さないことです。
そういう改革は必要でしょう。
それを知り、いま自分が国民年金のみ受給者(第1号被保険者)となる可能性がある人は、ライフプラン・キャッシュフローを定期的に作成していくことをおすすめします。
そのことを共有できる専門家を味方につけていきましょう。

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