日経電子版『日銀流「おもてなし」に応える海外マネー』より枠内引用
「世界のマネーのホット・スポットはジャパンだ」。噂を聞きつけた外国人投資家たちが続々、日本詣でに集合中だ。
これは実感としてありますね。
昨日(11/8)も日銀はETF買いを行っています。
日経平均株価の水準で見て「26年ぶりの高値」「年初来高値」「急上昇」になってもです。
日銀がETF買いで行っていることは、いまや株価の買い支えであり、上記の記事にあるように海外投資家への日本人マネーの受け渡しに近いものがあります。
日銀のETF枠(年間約6兆円)は、まだ1兆2千億円残っています。
10月の海外投資家の買いは、2,237,640百万円。
個人投資家は、-1,823,050百万円。
日本の個人投資家は売り主体で、キャッシュ・ポジション高めです。
では、投資を行っている個人投資家層はなぜ日本株を買わないのでしょうか?
「日本人は株価ばかり見ている」
などという声が聞こえてきていますが、個人投資家は投資もしますが、それ以前に消費者であり生活者でもあります。
そこが機関投資家とは違うところです。
きっと、次のようなことを思っているのではないでしょうか。
「株価は日銀の金融政策(または官制相場)で作られていっている」
アベノミクス(金融政策・財政政策・成長戦略)の中心政策は、世界中を驚愕させた日銀の異次元緩和です。
2013年から巨額マネーの空中戦がずっと行われています。
空中戦の主な参戦者は、海外投資家マネー・日銀マネー・GPIFマネー・郵政マネー・共済マネー・自社株買いマネーです。
日銀の異次元緩和は「金融投資」を活発化させているだけで、「実物投資」への効果は表れていません。
つまり、緩和されたマネーは家計にまでおりてきていないということです。
金融資産が実物資産へ向かい、消費されていかないと景気は向上しません。
それこそ富が分配されません。
(分配させたいとは思っていないのかもしれませんね)
トリクルダウン?
日本の中で相対的に多くの金融資産を保有しているのは高齢者層です。
そのお金を持っている高齢者の富は金融投資(道楽・趣味)や貯蓄へ向かっています。
企業も自社株買いをしています。(ストック・オプション対策でしょう)
金融庁主導で、「消費よりも金融資産増加へ」という動きをしています。
金融庁が目指していることも、目先の株価対策なのでしょうか?
証券税制の軽減税率(10%)をわざわざ廃止して、NISA、iDeCoといった初心者のマネーを株式市場に誘い込む政策を莫大な広告費用をかけながら行っています。
一方で、銀行等の投信販売を規制する方向に見る金融庁の動き。
それでいて、保険代理店の女性・初心者向けに展開する変額有期保険販売手法は野放し状態。
”国策に逆らうな”
と言われても、こと”金融に関する国策”は日本人よりも外国人の方を見ているという見方もあります。
いずれにせよ、
正常な市場にしないと、株式市場はお金を持っている者が勝つものだということを再認識していくだけではないでしょうか。