リスクがある世界は期待リターン通りにはいかない①

Pocket

割に合う投資を考えていきましょう

シミュレーションをします。
※前提条件
一時金1,000万円を投資し、30年継続するとします。
以下7通りの例でイメージグラフを作成し、リスクのある投資(黒枠)、リスクのない投資(赤枠)とに分けてみます。
(各リターンは1年間ずつとします)

10%の上昇と下落を繰り返した(黄色)
5%の上昇と下落を繰り返した(水色)
4%の上昇、1%の下落を繰り返した(黄緑色)
2年連続5%の上昇、その後5%の下落の3年周期を繰り返した(青色)
毎年0.1%の上昇(紫色)
毎年1%の上昇(オレンジ色)
毎年2%の上昇(赤色)

このグラフを見てあなたはどれが割に合うと思いますか?
また、気づくことはありませんか?

長期になればなるほど、マイナスになっていく動きなのはなぜ?

紫色(毎年0.1%の上昇)を元本だとイメージしていただければ見やすいかと思います。
まず、30年後に元本割れしてしまっているふたつのケースをみてみましょう。

10%の上昇と下落を繰り返した(黄色)
5%の上昇と下落を繰り返した(水色)

期待リターンと下落率が同じ、それが50%の確率で上げ下げしていく恰好ですね。
結果は?
はじめは元本を上回っているのですが、だんだんとマイナスに向かっていき、30年後には大きく元本を下回っています。
なぜでしょうか?

(。´・ω・)?

複利効果が働いているからです。
勝ち越せていないからです。

複利とは

変化したあとの数字に対して、次の変化率が影響を与えて変化していくことです。

したがって、

マイナスの変化率が起こった場合には、それなりのマイナスリターンになることを想定しておかなければなりません。

相変わらず、「複利!複利!」と”複利教”が叫ばれています。
つみたてNISA、確定拠出年金の説明で、投資初心者や投資をしたことがない人たちに対して大合唱されています。

「複利を味方につけよう!!」

投資の世界で複利効果の説明をするならば、

マイナスの複利効果で大きく損失を被る可能性がある

とするのが適切な表現だと思っていますが、実際はそうではありません。

期待値をプラスにしてみましょう

さて、期待値をプラスに設定した次の2例(緑枠)を確認してみましょう。

10%の上昇と5%の下落を交互に繰り返した(上のグラフにはありません)

場合はどうでしょうか?
プラスの10%とマイナスの5%ですので、期待リターンは2.5%になります。

10%の上昇と±0%を交互に繰り返した(上のグラフにはありません)

場合はどうでしょうか?
プラスの10%とプラスマイナス0%ですので、期待リターンは5%になります。

いくらリターンが高くてもマイナスになるとそのリターンは引き戻されてしまいます。

しかし、実際の投資をすすめる販売(マネーセミナー)現場では、期待リターン通りになるかのように説明している人たちがゴマンといます。
こういうのを不適切な説明と言わずになんというのでしょうか?
素人が初心者に投資をすすめているというのが現実です。
長期投資?
それを語れるだけの能力・見識・モラルがあるのかを問われるところです。
”痛いニュース”です。


(画像)『それでも彼らは嘘をつく』(むらきたまりこ著、サイコミ)

投資話において複利効果をプラス面で強調する人は信用できない

数学の授業ではないはずなのに、必死に数学の授業チック(ただプラスの掛け算をしているだけ)なことをしている人たちを見ていると、
「この人たち、わかっているのかな?」 (。´・ω・)?
「この人たち、騙そうとしているのかな?」 (。´・ω・)?
「この人たち、(数学ではなく)算数の教師なのかな?」 (。´・ω・)?
などと普通に思ってしまいます。

投資の世界では、複利は「敵」にもなります。
そして
それは、常識です。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする