GPIF 2016年4-6月期の実績から考える

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GPIF 2016年4-6月末の運用実績

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)より、2016年4〜6月期の公的年金の運用損失が5兆2342億円だったと発表がありました。(8月26日)
表にまとめてみました。
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この期間、日銀のマイナス金利政策により大きく価値が上昇した「日本債券」はプラスでしたが、他の3資産はマイナスでした。
積立金の総額は、129兆7,012億円。

※GPIF
「年金保険料-年金給付」=「保険料残」を運用しています。

下図は毎日新聞より

毎日新聞のグラフです。

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下図は朝日新聞より

朝日新聞のグラフです。
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日経平均株価デイリーチャート(2014年10月1日~2016年8月26日)

GPIFが内外株式比率を50%に変更をした2014年10月からの日経平均株価を確認しておきましょう。
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16,000円から16,360円と、行って来いになっていますね。
この期間の平均株価は17,952円です。
この期間には巨額な日本の”クジラ”たちによるニューマネーが入っていきました。
*GPIFマネー
*共済マネー
*ゆうちょ銀行マネー
*かんぽ生命マネー
*日銀マネー
これら5頭のクジラたちのマネーはどうなったんでしょうか?
オイルマネーをはじめとした海外マネーに代わってしまったのか。。。

※期間別、平均株価

※2014年10月~2014年12月
16,650円

※2014年10月~2015年3月
17,420円

※2015年4月~2016年3月
18,860円

※2016年4月~2016年6月
16,400円

日経平均株価ドル・コスト平均法(2014年10月1日~2016年8月26日)

この期間に”毎日”ドル・コスト平均法で買付を行っていった場合を見てみましょう。(約470営業日)
平均買付単価は、17,800円です。(同期間の平均株価は17,952円)

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気づいてください。
2014年10月のスタート時の買いコストは「16,000円」です。
それが現時点では「17,800円」になっています。
つまり、買いコストが「1,800円」ほど上昇してしまっています。
ドル・コスト平均法は、「買いコストを抑える効果がある」と教科書論では言われていますが、反対に上昇していっていますね。

なぜこうなったか?
日経平均株価が2万円を超えて上昇していき、買う行為も継続するという、いわゆる高値を追いかけていったからです。
(リンク先:2015年4月のコラムにて指摘しています)
それ自体を否定するものではありません。
ただ、ドル・コスト平均法は「投資対象の価格が平均買付単価を下回った瞬間に元本割れする」という仕組みを理解していないといけません。

「高くても買え!安くても買え!」というセルサイドが作ったドル・コスト教科書論に従っていると、本質を見誤ってしまいます。
現実、そのような方が多いのではないでしょうか。
喜ぶのは、手数料がわんさか入ってくる業者です。

先ほども言いましたが、16,000円から16,320円と行って来いになっています。
さて、ここで仮定の問題です。
この期間に”毎日”ドル・コストで買い続け平均買いコスト「17,800円」になっている状態と、その資金(同じ金額)をもって今「16,320円」を一括で買うのとどちらが成績がいいと思います?
今だけでなく、将来も。

今回の例(”毎日”ドルコスト)にあげました短い期間で考えると、よくわかるのではないでしょうか?
実際の株価を使った約470回(営業日)の買い付け結果です。
早くはじめたほうがいいと思いますか?
複利効果ってありますか?
下げても口数買えるからって呑気にしていられますか?

ドル円為替

下図は楽天証券より

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この期間の為替チャートを見ると、GPIFが行っている「外国株式」「外国債券」資産の為替損水準がわかります。
外国株式や外国債券は、為替の影響を受けます。
たとえば株式が上昇していても為替が円高になると、思うような結果になっていかないことがあります。

2014年10月1日~2016年8月26日までのドル円為替の平均は、116円ほどです。

2001年4月1日~2014年9月30日までのドル円為替の平均は、105円ほどです。
わかる人はわかりますよね?

手の内丸見えが問題

当記事上の表からもわかるように、GPIFの資産運用状況の手の内は丸見えです。

日本株については、どの水準で損をだすことになるのか。
為替については、どの水準で損をだすことになるのか。


日銀の国債買い(財政ファイナンス)、ETF買い、証券会社や投資家の日銀ETF買い期待、GPIFの手の内発表、この国は社会主義国家のようです。
と同時に、将来の地獄絵図作成がひどくなっていっているようです。



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