GPIF 2016年4-6月期の実績から考える②

Pocket

GPIF、2016年度第1四半期運用状況の説明動画より


2016y08m30d_112118432

2016y08m30d_112152001

2016y08m30d_112008833

2016y08m30d_112030526

2016y08m30d_112101427

GPIFに限らず、ここ数年間にみる投資成果というのは、ほぼすべての投資対象に対する実績から言えることですが、アベノミクスによる「円安」「株高」によって潤わされたといえます。
しかし、これは”普通”のことではなく、”異次元の国策”によってもたらされたものです。
異次元・国策ということは、それと引き替えに「何か」を差し出しているということです。

現在、GPIFが想定しているリスク「±2σ」は「±26%」ほど(2014年10月以降)だと思います。
上の図からもわかるように、2012年(平成24年)度から大きくパフォーマンスが改善されています。
ポートフォリオ変更前の水準では、けっこうな「+σ」(ブレ)だったのではないでしょうか。
だとすれば、その恩恵を十分に確保することを考えてほしいと思います。
この数年間の異次元金融緩和時期の収益は、結果的に「運」が良かったんです。
そのぐらい謙虚になりましょう。

この数年間は、投資をしていた方々の多くは恩恵を受けました。
もちろん私も!

個人投資家たちの意見「短期のマイナスは気にするな」について

不思議に思うことがあります。
それは個人投資家たちをはじめとした国民のGPIFの運用損を擁護する声です。

個人投資家たちからは

「長期投資だから短期の損なんて気にするな」


という声が聞こえてきます。

まあ、彼らの多くは間違いなくそう言うでしょう。
なぜならGPIFの積立金資産の「日本株式拡大による株高」「外債・外株拡大による円安」効果で自分たちの投資運用実績が良くなったんですから当然です。
反対に、その資金の一部が引きあげられることにでもなれば、運用実績が落ち込むのは目に見えています。
ですので、一種のポジショントークだといえます。

個人投資家は自分の運用成績のことを一番に考えます。
それ自体は正しい行為です。
否定しません。
しかし、年金マネーは国民全員のものですよね。

現在の年金支給額の内訳は、「現役世代の保険料+税金+不足分が積立金」(上図参照)です。

まず、保険料を考えましょう。
国民年金保険料(平成28年度:月額16,260円)しか払っていない個人投資家もいるでしょう。
中には未納者・免除者もいるでしょう。(未納でも投資はしている人たちはいるでしょう)
厚生年金保険料は年収比例ですので、年収が高くなければそれほど負担することにはなりません。
つまり、
個人投資家が投資をしていると思われる金額よりも公的年金保険料の個人分のほうは圧倒的に少ないのではないかと推測しています。

次に税金を考えましょう。
消費税1%は年間「約2兆円」の税金です。
それを基準にすると「約5兆円」というのは「消費税2.5%」分に値します。

そして、年金積立金ですね。
ここで確認すべきことは、129兆円という超巨額な年金積立金資産のほとんどすべては結局のところ、自分以外の他人様の資産だということです。(自分の資産はごく一部)
軽く考えてはいけないということです。
もっともっと大切に考えないといけないでしょう。

運用できるものがない?

先ほども申し上げましたが、私が不思議に思うのはGPIFの運用を擁護する国民の声です。

※マイナス金利で日本国債では運用できない?だから資産分散なんだ?

じゃあ、日銀に対してマイナス金利をやめさせるように働きかければいいでしょう。
そこが”異次元国策”に対して引き替えに差し出したもののひとつです。
※「日銀さま」には逆らえない?

じゃあ、日銀マネーを年金積立金に投入すればいいでしょう。
それで老後不安はかなり解消されるでしょうから、皆、お金を使いだすでしょう。
※そんなことをしたら貨幣価値が目減りする?

いやいや、そもそもそれを望んでいる政策でしょう。

5兆円減少しても累積リターンがプラスだから良い?

いや、それは違うでしょう。

そもそも、私は常々指摘していますが、FP資格保有者や投資をすすめる金融業界は、5%や7%は当たり前のように運用できると言っています。
多くの場合、「毎年プラスリターンの複利計算」をしています。
それであれば、GPIFの直近1年のマイナスリターンの事実はなに?
15年の累積「2~3%」程度のリターンの悪さはもっともっと責めないといけないのではないでしょうか?

特に、積立投資を複利運用ですすめるFP資格保有者たち!
自分たちが行っている毎年プラスリターンの話が間違いだと気づきませんか?
いいかげんにウソをやめましょう。

話それましたが、なぜ責めないのか不思議です。
何をかばっているんでしょうか?
いやいや、かばっているとかではなく、ただ資金を引きあげられたくないという、本当にポジショントークなんでしょうね。
(^m^)

投資というのは、プラスリターンをだすのが前提でしょう。
それが彼らの”仕事”であり、”使命”です。
もちろん、マイナスになるときもあります。
しかし、マイナスリターンの結果をだして責められないっておかしいでしょう?
皆さんの仕事、「前年比マイナス」「赤字」「売れ残り」などといって責められないですか?
株式市場は容赦しないでしょう?

年金積立金って、国民の汗と涙と努力の結晶が積み上げられた資産ではないのでしょうか。
厚生年金保険料なんて、事業主は赤字でも払うんです。
公務員のそれとは「質」が違います。
そこを真剣に考えた場合、マイナス運用の結果でも許すというポジショントークは問題です。

厳しさがなさすぎ!
つまり
投資に対して
甘すぎ!!

官製相場で貧弱な個人投資家が育っていっています。


シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする