論理的思考能力欠如のマネーセミナー

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無知の知

普通に暮らしている人々に対して、『金融リテラシーが不足している』と言っている人たちがいます。
その人たちは”ファイナンシャルプランナー”という資格を持っていて、主に平日の夜に仕事帰りのOLをメインターゲットにマネーセミナーをしている保険代理店の保険募集人です(金融商品仲介業者の場合もあります)。

私は、『金融リテラシー不足』と言って、ある意味上から目線で語る彼らには『あなたたちは論理的思考能力が不足』しているとお返ししてあげなければならないと思っています。
論理的思考・・・ロジカルシンキング、つまり物事を筋道立てて論理的に考える能力になります。
それだけではなく、彼らこそ本当の意味で『金融リテラシー』が不足しいているのではないかと思っています。

彼らが日々行っているマネーセミナーのベースは、外資系の生命保険会社や外資系の証券会社から教わった台本付セミナーコンテンツを使用したものです。
つまり、初心者向けと題したセミナーをする彼らもまた”初心者”なのではないでしょうか

論理矛盾に気づかない愚かさ

彼らがセミナーの中でいつもしている積立投資をすすめる話の中に

高い金利で複利運用すればこ~んなにもお金がふえるんです!すごいでしょう!!


という複利運用効果を強調する話があります。

下図は、ある利率で30年、毎月積立複利運用した場合の投資累計額と投資資産残高の関係を表したものです。
セミナーに参加された方や複利運用の説明をお聞きになられたことがある方はイメージできると思いますが、複利の話で説明される図は右肩上がりに大きく上昇することなります。
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この図、積立累計の投資元本(緑のライン)に対してずっと右肩上がりに投資残高が増加(赤の棒グラフ)するイメージになります。
この図を見ると、どんどん投資した資産残高が増加すると思うのではないでしょうか?
見る人誰もがそう思うでしょう。

さて、この図は正しいのでしょうか?
・・・・。
答えは、「この図”自体”は正しい」です。
これは”仕組みの話”であり、ただの”数学”の話ですから。
数学の話ですから、高校生がしても同じ話になります。
そうです。
上図は、ただの数学(エクセルでの計算)の結果を「図」にしただけです。(数学の授業か?)

しかし、”投資をすすめる話”でこの図を使うのは間違った行為(誤認のはじまり)ではないでしょうか。
なぜなら、この図に当てはまるのは、彼らが必死に否定する”預貯金”や”定額の貯蓄性保険”である固定金利でのシミュレーションになり、リスクある”積立投資”ではこのような図には99%ならないからです。
この図で使っている「ある利率」というのは「30年間ずっと同じ利率」です。
この意味を理解するFPが日本に何人いるのでしょうか?

預貯金や定額の貯蓄性保険は「利率が決まっている商品」となり、図のようになっていきます。
一方、投資性商品は「利率が決まっていない商品」となり、図のようにはなりません。
それが証拠に、彼らはドル・コスト平均法の話を必ずします。
このことから聞く側を明らかに”誤認”させてしまうことになります。

矛盾している話を平気でする人たち

上記の図などを使って複利効果の話(数学)をしたあとに、「ドル・コスト平均法」について説明をするマネーセミナー業者やファイナンシャルプランナー、直販投信会社の社長さんたち。

いい加減な人たちの代表選手です。
ドル・コスト平均法投資は、毎月決まった額を決まった銘柄に投資をしていき、”投資の平均単価をつくっていく”方法です。
なぜ、そのようなことをするのか?
皆さんも聞かれたことあると思います。
値動きのある株式などは、いつが高くていつが安いかなんてわからないから、毎月継続して買っていくことにより、買付単価を平均化していこうというものです。

これはつまり、投資の世界では投資残高は上下していくのが普通であり、上記の図のように一直線上に右肩上がりにならないと自ら証明していることになります。
この時点で、積立複利の話をし、ドル・コスト平均法を使って投資をしてこうという話は矛盾しており、聞く側を誤認させていることになります。
ありえないシミュレーションを平気で見せて投資勧誘をしています。
まさしく”論理矛盾”です。


マネーセミナーやFPでこのような話を平気でする人たちは、論理的思考能力が欠如している人たちだといえます。無知のレベルです。
反論があればいつでも受けつけます。(所属会社名と実名がある場合のみ)

無知が、さらに変額保険をすすめる無知

このあと、無知FPたちがさらにセミナー参加者に無知に輪をかけて商品をすすめます。
セミナー中は「変額保険(終身・有期)」と「投資信託」の概要を話し、個別相談時に「変額保険」への加入をすすめます。
ドル・コスト平均法の説明は、変額保険を月払で契約させるための営業トークだったことがわかります。
集団催眠商法ですね。

なぜ、「変額保険」を積立投資として行ってはいけないか?
変額保険では、上図の説明にある複利運用結果にははじめからならないからです。
変額保険は、”保障”のためにある商品だからです。
反論あればいつでも受けつけます。(所属会社名と実名がある場合のみ)

変額保険、さらには資産分散によるドル・コスト平均法がうまくいくのなら、その商品を販売している生命保険会社が変額と定額の予定利率の差を大きく乖離させることはないでしょうし、そもそも定額商品の予定利率を下げることなんて必要ないでしょう。

銀行からお金を借りて投資をすればいい

マネーセミナーや多くのFPは、積立投資をすれば5%や7%で運用できると言っています。
じゃあ、自分たちが銀行からお金を借りてきて(借入金利のほうが圧倒的に低い)、ただ投資をしていけばいいのではないでしょうか?
銀行に自分たちが行っているマネーセミナーをすればきっと貸してくれますよね。(正しい話なら)
銀行自身も投信や変額を「分散投資」と言って、一般の方の定期預金等を解約させて販売しているぐらいですからわかってくれるはずですよね!
これ、間違っています?
これが論理的思考です。

積立投資がうまくいくと言っているFP、マネーセミナー主催者。
まとまったお金を投信や変額で分散投資をさせている銀行。
両者が”本気”でそのように思っているなら、
「お金を借りて積立投資で金利以上にお金をふやす」
という事業に賛成するでしょう。
世界中の株主も大賛成するでしょう。

ちなみに、マネーセミナー主催者は参加者に対してこのようなことも言ってるようです。
参加者「住宅を買う予定でまとまった資金があるんですけど・・・」
主催者「住宅は住宅ローンを組んで、今あるまとまった資金は投資をしましょう」
皆さんも同じようなことを言われた経験ありませんか?

そっくりそのまま同じことを言ってあげましょう。
「マネーセミナー開催のために莫大な広告費用をかけるなら、その費用を使って全力で積立投資をすればいいでしょう」
「銀行から融資を受けて、全力で投資をすればいいでしょう」

「できない」
とでも言うのでしょうか?

デタラメなことばかり言って、他人(ひと)様を騙すなよ。

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