日経記事「老後資金、取り崩しの公式」は参考にならない②

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机上の空論とは、
人を見ない、生活を知らない、それを語る自分がカッコイイというところから形成されるものです。

日経新聞電子版(10/27)
老後資金、取り崩しの公式 前半は定率、後半は定額で

この記事は、典型的な机上の空論でこの記事の読者、いや多くの人にとっては参考にならないだろうなと思いました。
2回に分けてそれについて書いていきますが、今回はその2回目です。

引用します。

60~74歳の期間は投資信託などで運用して資産を増やしながら「定率引き出し」と呼ぶ方法で取り崩す。あらかじめ金額を決めるのではなくて、そのときどきの資産残高の一定比率を引き出す方法だ。
~中略~
そして75歳以降の後半期間は「運用をせずに定額で引き出す」。

定率引き出し、毎年残高の「4%」を引き出すと言っていますが、
この話には前提があります。それは

60歳時点の資産全額が毎年3%の運用(手数料抜き)がされていく

しかも最初の15年間(60~74歳)は3%運用は可能だが、後半の20年間(75~95歳)はそれは不可能かもしれないので運用はしない

ということです。
いま60歳の人が75歳になったときに、新たに60歳になる人もいますよね。
その人たちは3%の運用ができるというのです。

時期や市場は同じはずなのに?
つまり、運用結果は「運」なのでしょう。
74歳までは認知能力もあるのでどうとでもなるから投資をさせておこうってなものかもしれませんね?
この時点で、この話は論理破綻であり、このような話を語るには力不足だと言ってもいいでしょう。

その前提をおいて、2点指摘します。

①普通の人は、自分の金融資産を「率」で計算して引き出しをするようなことはしない
  
そんなことをしている、できる人がいるのでしょうか?
 
②「率」で計算された金額が、実生活で過不足があるかもしれないことが想定されていない
  
お金は「率」ではなく「額」です。
「額」で考えられていない時点で机上の空論と言われても仕方ないでしょう。
事実、毎年3%運用という前提の話で、「4%」を引き出す金額は当初の15年間年々少なくなっていきますが、それについては考慮されていないようです。
後半の20年間は、当初の15年間よりも多い金額になっていますが、それについての根拠が「引き出し額が変動するのは許容し、後半期間に資産を十分確保することを優先する」となっていますが、それはそれぞれの個人が決めることであり、そうすることが一般的であり、さも正しいやり方のような話は適切ではないでしょう。

 
パソコンの数字を使って、あーでもない、こーでもないとやっているだけでは、たくさんの人々の生活実態や思いを知ることはできません。
なにより、ライフプラン・キャッシュフローという概念がなさすぎです。
残念ですが、ただただ投資をさせたいというポジション・トークになっているのは明らかです。

人生の最後に向かって個々のライフプランを楽しんでいくにあたり、得るべき情報は選別していかないといけませんね。
この記事、そもそも日経新聞の担当者は「?」を持たなかったのでしょうか。
普通に思うはずです。
それが常識的な「?」だから。

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