生保協会:マネーセミナー経由の変額契約の取り消し

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裁定概要集 平成28年度 第4四半期 終了分(平成29年1月~3月)
(一社)生命保険協会 生命保険相談所

平成29年3月6日 和解成立
<事案の概要>
募集人から契約内容について十分な説明がなかったことを理由に、契約の無効と損害賠償の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
平成27年8月に契約した変額保険について、以下の理由により、契約を無効としてほしい。
また、本契約の締結や紛争解決に要した費用の賠償および慰謝料の支払いをしてほしい。
(1)本契約は、数回にわたり資産運用セミナーに参加し、講師であった募集人に個別相談をしたときに、募集人から勧誘されて申し込んだものである。
(2)募集人に資産運用の相談はしたが、生命保険を契約する意思はなかった。
(3)募集人から、保険料が死亡保障に充当されるという説明がなく、積み立てた保険料が全額運用されるものと誤信していた。

<保険会社の主張>
契約内容に関する募集人の説明は不十分であったため、契約の取消しおよび既払込保険料の返還には応じるが、その他申立人が主張する費用を当社が負担する理由はないため、申立人の請求に応じることはできない。

<裁定の概要>
1.裁定手続
裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、募集人の対応に不適切な点があったかどうかなど、契約時の状況を把握するため、申立人およびその配偶者に対して事情聴取を行った。なお、保険会社が募集人の説明不足を認めていることから、募集人に対する事情聴取は行わなかった。

2.裁定結果
上記手続の結果、契約の無効または損害賠償の支払いを認めることはできないが、募集人がより丁寧な説明をしていれば、申立人が契約内容を理解し、紛争に至らなかった可能性が否定できず、紛争の早期解決の観点からも、本件は和解により解決を図ることが相当であると判断し、業務規程第34 条1 項にもとづき、裁定審査会としての和解案を当事者双方に提示し、その受諾を勧告したところ、同意が得られたので、和解契約書の締結をもって解決した。

説明不十分のケースは多すぎるほどあるでしょう

募集人から、保険料が死亡保障に充当されるという説明がなく、積み立てた保険料が全額運用されるものと誤信していた。

これを保険会社が

契約内容に関する募集人の説明は不十分であったため、契約の取消しおよび既払込保険料の返還には応じる

というのは、とても参考になる事例だといえるでしょう。
これから「契約の取り消し」を行う方々にとって。

ただ損害賠償は、保険募集人に対して別途行うべきですね。
・誤認勧誘による機会損失
・誤認勧誘によるストレス

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