全国で毎日のように開催されているマネーセミナー。
ほとんどのマネーセミナーのGOALは、『変額保険や投資信託の販売』です。
これを否定するつもりはまったくありません。
否定するのは、
長期積立分散複利運用投資をすれば、あたかも資産がふえるという夢(?)のような話をし、その結果、変額や投信を使って資産形成させる販売業者のやり方です。
これはハッキリ言って”誤認勧誘”にあたる可能性があるのではないかと思います。
先日、このようなことをお聞きしました。
20代女性
「某社のマネーセミナーへ参加して個別相談を受けたところ、(某生命保険会社の)変額保険(毎月積立)をすすめられました。これがその設計書です。」
20代の女性、60歳満期の変額保険でした。
私
「10年後や15年後、解約返戻金の5%の運用実績欄を見ても元本割れですね。」
20代女性
「60歳の時点で元本が割れていなければいいでしょう、と言われました。」
本当にこういうことを平気で言っているんですね。こういう人間の感覚はこわいですし、最低な保険募集人だといえます。ここの会社、一般的な貯蓄性の保険商品は加入後数年で解約したら元本割れするのでやめておけと声高らかに言っています。それが自分たちはどうでしょう?保険商品である変額保険をすすめており、それが元本割れするのは全然かまわないというのです。まるでヤ○ザみたいな考えだと思います。(他がするのはだめだが自分がするのはいい的な考え)
私
「この商品の3.5%(予定利率)の欄、60歳時点(30年以上)の解約返戻金は払った保険料累計の1.5倍にもなっていませんね。」
20代女性
「はい」
私
「セミナーで説明される複利運用の話では、3%で積立複利運用ということなら30年で元本の1.5倍以上にはなっていなければなりません。(セミナーでそのようになる話がされています)」
20代女性
「そうですね。」
私
「そうなっていませんね。」
20代女性
「はい。」
まず、この時点でセミナーで良く話がされる
「3%で積立投資をした場合、複利運用で30年後に○○万円になります」
という話は、実際にはありえないということの証明をそのセミナーの講師側は自らしたことになります。
そのような話をするのなら、実際にそうなる可能性のある商品を提案するべきです。
これはまさに”誤認勧誘”でしょう。
デタラメです。
その会社は、現在のような低金利での貯蓄性の保険は20年や30年で元本(払込保険料)の1.2倍や1.3倍の解約返戻金なんて何もならない、と声高らかに言っているようです。そうであれば、20年や30年でほぼ確実(ほぼ確実ぐらいの自信がないなら1.2倍や1.3倍をバカにするのは本当にヤ○ザです)に2倍以上にはなっている商品を提案しないといけないでしょう。今回のように提案する商品が間違っている時点で、本当に無責任な業界だと言われかねません。
そもそも予定利率の意味や保険商品の使い方もロクに知らないのではないでしょうか。
上記のような、30年以上5%積立運用で投資元本の2倍にもならない商品なんて、セミナーで複利運用の説明をしたものとかけ離れています。
ご本人たちはわかっているのでしょうか?
ウソつきもいいところですね。
え?
「たとえば投資信託なら販売手数料や信託報酬といった手数料ががかかるでしょう。(だから無理)」って?
それなら、完全にセミナーでの複利運用話は”机上論”だと認めたことになりますね。
また、そうであるなら大きなマイナスになる信託報酬等の説明をセミナーでしないといけないでしょう。(弊社のセミナーではお伝えしています)
このような無責任で、かつ誤認させるような可能性のある勧誘が許されていいのでしょうか?
保険会社も実態をわかっているのに野放し状態です。
というよりも推奨しています。
このような勧誘はツケとなっていきます。
そしてツケは必ず払わされることになるでしょう。
私
「60歳って・・・○○さんが生まれてからまだ生きてもいない期間を繰り返すほど先の話ですね。その担当者もその頃はいませんね。」
20代女性
「そうですね」
積立投資をすすめるなら、10年後や15年後、つまり自分が担当者としていれる間にきっちりと定額の貯蓄性の保険よりも当然大きな結果をだせる提案をしないといけないのではないでしょうか。そうでないなら、そのような商品(つまり仮に5%で運用できたという結果が15年後にもトントン程度のもの)をすすめる意味がありません。
なぜなら、10年や15年もの期間積み立てできるなら、きっちりとふえる商品があるからです。
そう、”堅実・確実なもの”でです。
そのように、まずは”守るべき資産を構築”してから、次のステップへすすんでいくやり方が資産形成の成功のカギだと思います。
投資はそれからでも遅くはありません。いつでも投資はできますから。
とにかく「積立投資だ」「複利運用だ」ということで、机上論ばかり言って、言ったあげくの商品が「変額保険」だなんてあいた口がふさがりません。
このようなマネーセミナー(GOALが変額か投信)が原因で、将来、FPの仕事が信頼されなくなってしまうことになるのでないかと本当に心配しています。
事実、保険募集人・保険代理店という仕事が金融庁をはじめとして信頼されていない動きになっています。
これは、明らかにある一定数の保険募集人が過去にとんでもない仕事のやり方をしてきたからになります。
ツケを払わせられるのは、いつも真面目にやっている人たちです。
本や新聞やネットでも机上論が平気で巻き散らかされています。
リスク性商品をすすめるということは、本当に謙虚さを持たないといけません。
謙虚さを持たずに、メディアやセミナーで平気で机上論を巻き散らかすのは大問題です。
生命保険業界、自分たちできちんとしていかないと将来がなくなります。
お客様に見放されます。