マネーセミナーでのインフレトーク

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”インフレトーク”
この言葉を使って過剰に不安を煽って投資をすすめる手法が使われています。
私から言わせると、「低レベル!」です。^^

積立投資をすすめるマネーセミナー等でよく話されています。
『将来の貨幣価値が・・・』
『投資をしないとあなたの資産が目減りするだけです』
なんか専門的です。
かっこいいですよね、インフレトーク。
預言者みたいです。^^

このインフレトーク、最低限”投資をしないと”ただただ資産が目減りしますよと言っていることになります。
私は、弊社セミナーにご参加いただいている皆さんに対して「同じものでもひとつの見え方だけではなく、様々な見え方がある」というお話をさせていただいています。
カタチのない商品を販売する金融業界における投資に関する分野には、特にそれが言えるのではないでしょうか。
現実は、ほとんど「ひとつの見え方」だけの話になっています。

どのような「見え方」か?
「売り手側の見え方」「机上論者の見え方」です。
重要なのは「買い手側の見え方」「経験からの見え方」です。

投資というのは、2つの決まった結果と1つのわからない結果で成り立ちます。

*決まった結果
①あなた(投資家)が拠出するお金
②販売業者が得る手数料
*わからない結果
③あなた(投資家)の最終損益


私は、この最終損益がわからないという投資(そしてその最終損益は投資家の自己責任とされます)に関することは、それを販売する業者にはかなり高いモラルが求められると思っています。
残念ながら、高いモラルや謙虚さのない販売業者やFPがはっきり言って多すぎだと思います。
投資家が拠出するお金というのは、それが一時金であれ毎月積み立てであれ、その投資家がこれまでの人生で得てきた賜物と歴史です。
こういうことがわかっていない、わかろうとしない販売業者やFPが多すぎです。

このインフレトークにもそれが顕著に表れています。
インフレトークをする人に共通するのは、とにかく「否定をするために」どういうことをすればいいかが前提にあります。

否定とは?
まず、インフレに対応できないと一般的に言われる商品は”悪”だという決めつけ。
次に、投資をすることが唯一インフレに対応できるという机上論的発想。
そして、極めつけは必ずインフレになるという判断。

バブル崩壊後(1991年)、銀行預金や保険の予定利率は下がり続けてきました。
その下がり続けている状況下でも、ず~っと「インフレが」「貨幣価値が」と言ってきた人たちがいます。
試験勉強をしてファイナンシャルプランナーという資格を得た人たちや証券会社出身のFP(保険代理店)たちです。
2014年3月現在、約23年という年月が経過してきていますが、彼らの言うとおり、投資をしてきた人たちの結果はどうだったでしょうか?
全くハズレだったと思います。

私は、インフレトークで誰彼関係なく投資をすすめていく、この机上論大好きなFPたちに欠落している視点がいくつかあるのではないかと思っていますので、それを下記に記します。

①インフレにならずにデフレ~デフレに近い状況が継続することを想定していない
②投資は絶対成功するという、ある意味断定的判断に基づいた投資勧誘をしている
③貨幣価値が下がるのは将来の一時点のその商品の話のみで、他のもの(給料がふえる等)の価値は考えていない
④インフレとスタグフレーションとの違いを理解しているのか疑問
⑤中央銀行(日銀)の役割を理解しているのか疑問

①『インフレにならずにデフレ~デフレに近い状況が継続することを想定していない』について
まず、将来インフレにならない、インフレにならなかったら、という状況を想定した話をしていないのには驚きです。
これぞひとつの見方しかしていないという典型的な発想です。
デフレ~デフレに近い状況では、どのような資産形成・資産運用が良いかを全く考えていない。
リスク管理能力に問題があると思います。
②『投資は絶対成功するという、ある意味断定的判断に基づいた投資勧誘をしている』について
そもそもインフレになったら、投資は成功するということはありません。
なぜなら、投資の結果はインフレではなく”キャピタル・ゲイン”によるものだからです。
ソクラテスの”無知の知”を知ってほしいと思います。
③『貨幣価値が下がるのは将来の一時点のその商品の話のみで、他のもの(給料がふえる等)の価値は考えていない』について
1千万円を貯めるために毎月積み立てしていく商品について、現在の1千万円の価値が将来500万円の価値になってしまったら・・・と良く言われますが、それって「1万円が5千円になる」っていうことと同じであり、「千円が500円になる」ということと同じです。
お金自体の価値が半分になるということです。(確認事項)

問題はここからです。
使うお金の価値だけが変わる(目減りする)のではありません。
同時に新しく入ってくるお金の価値も変わってくることになります。(だから目減りするということが言えることになります)
新しく入ってくるお金、毎月の収入ですね。
将来インフレになった場合、毎月の収入となるお金の金額や価値は現在と変わらないというのでしょうか?
それはありえませんよね。(そんなことになればスタグフレーションです)
1千万円の価値が500万円になるというのは、月収30万円の価値が月収15万円になるということでしょう。
つまり、新しく入ってくるお金としては、30万円の月収が60万円の月収になっていないといけないのではないでしょうか。

この結果、インフレで1千万円の価値が500万円になるというのなら、もう500万円分増額できるように積み立て額を増やすだけで解決していけます。
インフレで収入が増額されるのでしょうから、その分の積み立て額を増額すればいいだけです。
収入が増額されないのは、インフレではなくスタグフレーションとなり、それは不況となり、経済がおかしくなります。
日本経済がおかしくなれば、投資にもかなり悪影響となるでしょう。

つまり、”そのものの価値自体は変わらない”ということです。
負担が楽になるということです。
あとは積み立て額をふやすかどうかだけです。

※はじめの1千万円の価値は負担能力が変化しただけ
※同じ価値を維持をするために、負担をするかどうかだけ
④『インフレとスタグフレーションとの違いを理解しているのか疑問』について
③と同じ
⑤『中央銀行(日銀)の役割を理解しているのか疑問』について
日本銀行は、金融政策で物価を調整するのが役目です。
何もせずにただただインフレにはなりません。
それを見ながら、プランニングやアドバイスしていくのが私たちの存在価値のひとつです。


結論になります。
インフレのために投資をしなければというのは、間違いなく将来の資産結果を保証しているものではありません。
投資結果は、キャピタル・ゲインですから。
ですので、予定よりも大きく資産を毀損してしまう可能性だってあります。
それが投資です。

冒頭にも書きました、最低限投資をしないと資産が目減りするということで、もしも投資をしたことで反対に資産が目減りしてしまったら、誰が責任をとるのでしょうか?
自己責任?
そう言うのなら、セミナーなんかで宗教家気取りで「インフレが~」とか言うのはやめたほうがいいです。
まったく恥ずかしいです。

インフレで大切なのは、収入があがることです。
上記の例の1千万円、インフレになっても価値が下がることはありません。
負担が楽になっているだけです。
このことがわかっていないFPたちのすすめで投資をしても上手くいく可能性は低いでしょう。

以上、将来インフレになったらと過剰に不安を煽る机上論FPたちと私の考え方の違いでした。

机上論FPと私とで業界に関する様々なことについての考え方の違いは、誰かが書いた知識のテキストで勉強したことが本当だと思って話すということではなく、自分自身が実際にどれだけ多くの家庭を見てきたか、どれだけ様々な家計を見てきたかという経験、まだまだたくさんの人の数だけ違う想いがあり、人生があり、歴史があるということを認識しているかどうか、そして検証をしているかどうかだと思っています。

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