書籍『アベノミクスによろしく』

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『アベノミクスによろしく』(明石順平著、インターナショナル新書)
を読みました。
著者は経済学者ではなく弁護士で、なかなかの良い視点からとても分かり易く書かれています。
投資本なんかよりも数倍タメになります。^^

8章からなっている本の終わりに、著書の総まとめとして書かれている9つの視点を引用します。

①異次元の金融緩和を行っても、マネーストックの増加ペースは変わらなかった。物価上昇は消費税の増税と円安によるものだけ。マイナス金利も効果なし。

②増税と円安で物価は上昇したが、賃金がほとんど伸びなかったので消費が異常に冷え込み、経済は停滞した。

③経済停滞をごまかすため、2008SNA対応を隠れ蓑にした異常なGDP改定が行われた。

④雇用の数字改善は労働人口減、労働構造の変化、高齢化による医療・福祉分野の需要増の影響。これはアベノミクス以前から続いている傾向で、アベノミクスとは無関係。

⑤株高は日銀と年金(GPIF)でつり上げているだけ。実体経済は反映されていない。

⑥輸出は伸びたが製造業の実質賃金は伸びていない。また、輸出数量が伸びたわけではない。円安で一部の輸出企業が儲かっただけ。

⑦3年連続賃上げ2%は全労働者(役員を除く)のわずか5%にしか当てはまらない。

⑧アベノミクス第3の矢の目玉である残業代ゼロ法案は長時間労働をさらに助長し、労働者の生命と健康に大きな危険を生じさせる他、経済にも悪影響を与える。

⑨緩和をやめると国債・円・株価すべてが暴落する恐れがあるので出口がない。しかし、このまま続けるといつか円の信用がなくなり、結局円暴落・株価暴落を招く恐れがある。





著者は最後にこう語っています。

確かにアベノミクスは、ごく一部の人たちに利益をもたらしました。しかし大多数の国民には何の恩恵も与えていないし、それは今後も変わらないでしょう。為替と株価という目立つ部分が良く見えるだけです。
その上、私たちはアベノミクスが生んだ特大の副作用と闘わなくてはならない運命にあります。

私も同じようなことを思っています。言っています。

将来の地獄絵図が形成されていっています。




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