長期積立分散複利投資の限界を知るべき

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日経新聞の電子版(平成25年11月25日)
日本株、バブル後の積み立て投資がついにプラス転換
編集委員 田村正之氏
がでていました。

私の最近のセミナーで話している内容ですのでコメントします。

「長期でも積み立て投資でも報われなかった」と責められ続けた日本株。しかし実は最近の株価上昇で、23年前のバブル崩壊以降に日本株に積み立て投資した場合の評価額が、累計積立投資額に比べてプラス転換した。「株は長期」というセオリーが「復権」する兆しになるかもしれない。

「復権」?甘いですね。
笑わせます。
どんだけ机上論ですか。

日経平均株価が過去最高値だった1989年末以降、「日経平均」という銘柄があったと仮定して、毎月1万円ずつ積み立て投資した場合の累積投資額と保有資産の評価額を計算した。例えば日経平均が2万円のときは0.5株、1万円のときは1株買うという計算だ。
最近の株価急伸もあって、22日終値で計算した評価額(株数×日経平均株価は、累積投資額を約12%上回っている。

私のセミナーでも言っていますが、「1992年~2013年10月」までの平均株価を使ったドル・コスト平均法の検証で、バブル崩壊後の日経平均株価(=指数)を投資対象としてドル・コスト平均法を続けてきて久しぶりにプラス転換したのは今年です。
アベノミクスがなければマイナスの状況です。

こういうデータを作成しているマネーセミナーはほとんどないでしょう。本来、積立投資をすすめるなら、それをすべきなのに、保険会社や証券会社がだしてきているデータが正しいと思って、または作成の仕方がわからない、そもそも過去の検証データを作成するべきだという発想すらないFPが多いでしょうね。
この22年間で実に2回、4~5割のマイナスになっている時期があります。

ドル・コスト平均法での投資を強くすすめている多くのマネーセミナーや机上論者は、”自分のお金”を使って投資をしていたらどうかということを述べません。
自分のお金を使って積立投資をし、その資産が5割マイナスになった場合、たとえば
*200万円ほど積立投資をしてきた資産が100万円になっていたとしたら?
*500万円ほど積立投資をしてきた資産が250万円ほどになっていたとしたら?
*1000万円ほど積立投資をしてきた資産が500万円ほどになっていたとしたら?

精神状態をイメージしてください
不安になりませんか?
泣きませんか?
一括投資ではなく、積立投資でですよ。
つまり、この状態になれば”買えば含み損”の投資方法だということです。
一歩間違えば、ストレスから健康状態を害してしまうこともあります。
家庭内不和も起こるかもしれません。
そういうことを想定しておくことが必要です。

私の試算による一回目の大きなマイナス時期(最高5割)が、±ゼロに回復する時が”一回だけ”きます。
実は、5割マイナスになる期間について、元本割れから元本回復に戻るまでは非常に長期間です。
何年だと思います?
実に5年です。
積立投資で投資元本を下回ってから、投資元本まで回復する期間が5年もかかっています。
繰り返しますが、その間、5割のマイナスです。
こういうことを知って積立投資をすすめているFPはほとんどいないでしょうね。

こう言うと、
「積立投資はしていることを忘れていてもいいんですよ、老後まで」
ということを平気で言っているFPもいます。
こういう人って、自分のお金と人のお金の違いと重みを知らないのではないかと思います。
さらに、本当にそうであれば投資信託や変額保険で積立をさせているのは、私から言わせると≪売り手のため≫だけにある話になりますね。
「忘れていい」と言うなら、
まず、確定拠出年金(401K)をすすめるべきですね。
(確定拠出年金はその制度を利用できる方とそうでない方がいます)

そして、人の心理として”5割マイナスになっていたもの”がやっと元本を回復したそのときに、
「あ~、良かった、もうコリゴリ~」
と言ってやめる人がいないと思いますか?
私はおおいにいると思います。
日本の個人投資家はすぐ売ります。^^;
そもそも積立投資で2割、3割、4割、5割とマイナスになり続けている状況で積立投資を継続できるスーパーマンはなかなかいないのではないでしょうか?
それができる人は、私が提唱する≪資産形成には順番が大切≫だということを実践している人です。

その後、一時2割プラスとなりますが、その直後にまた4割ほどのマイナスにまで下落していきます
「うわー!やめてたほうが良かった」
と嘆かないですか?
そして現在、アベノミクスで回復してきています。

記事にあるような

最近の株価急伸もあって、22日終値で計算した評価額(株数×日経平均株価は、累積投資額を約12%上回っている。

この結果、12%上回っているということです。
20数年で。
これであれば、貯蓄性の保険で十分だということがわかります。これがある意味で真実です。

これが22年の結果です。
たとえば、30年を投資期間として考えている場合ですが、次にマイナスの激震がやってくると立ち直れない状況になる可能性が高いですね。
ドル・コスト平均法を使った長期分散積立投資の限界を知るべきです。
このような積立投資の事実や現実を伝えずに、ドル・コスト平均法が良いような論調は、無責任以外の何者でもないでしょう。

私のセミナーでは、2000年~2013年10月までの14年間、平均株価で積立投資をした場合のもっとも良かった時期と累積投資額が何%上回っているか、また、もっとも悪かった時期と累積投資額が何%下回っているかをお伝えしています。
それを見ると、それを知ると、ドル・コスト平均法を使った長期分散積立複利投資の”限界”がわかります。

これが本物のデータであり、お客様に伝えないといけない真実です。


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