30年前の日経平均は今と同じ水準、直近30年のドル・コストの結果は!?

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30年前の日経平均株価は今と同じ水準

2016年5月末の日経平均株価・・・17,234.98円

1986年6月末の日経平均株価・・・17,654.19円


この間、30年です。
この30年の日経平均株価を使った毎月1万円のドル・コスト平均法投資の結果を「平均株価」と「平均買付単価」の関係から見てみましょう。

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※投資累計・・・360万円(毎月1万円×30年)
時価・・・420万円(金利1%複利計算の水準)

※販売手数料「0%」、信託報酬「0.5%」を加えて計算
時価・・・389万円(金利0.5%複利と同じ)

※税金を計算
389万円-360万円=29万円
29万円×20%=58,000円(復興特別税は考慮せず)

※30年後の手取り金額
389万円-58,000円=3,832,000円
利益額は、360万円の投資額に対して232,000円。

※販売手数料「0%」、信託報酬「1.0%」を加えて計算
元本割れ

※販売手数料「3.24%」、信託報酬「0.5%」を加えて計算
元本割れ

30年で最もリターンが良かった水準は?悪かった水準は?

この30年で最もリターンが良かった水準は、「153%」(投資額の1.5倍)でした。
この30年で最もリターンが悪かった水準は、「-50%」(投資額の半分)でした。
ボラリティリティが「約100%」もあったということですね。
すごいリスク(ブレ)です。

ここからわかることは、直近30年の日経平均のドル・コストでは積立投資で元本の「2倍」(4.2%複利)や「3倍」(6.5%複利)なんて逆立ちしても無理だったということです。
・投資元本の半分になる水準まで下落しても買い続け・・・
・口数増加でメリットがあるからと言われて買い続け・・・
それでも結果は「約1.16倍」(360万円の116%:手数料考慮せず)。

ドル・コスト平均法で行う長期積立投資で投資元本があたかも「2倍」や「3倍」に、それが”普通に””誰にでも”できるかのように説明しているFP資格保有者やマネーセミナー業者らがわんさかいますが、彼ら彼女らは全くわかっていません。
なにを?

ドル・コストで「2倍」「3倍」ということは、その投資対象が売却時に平均買付単価の「2倍」「3倍」になっているということ

「〇%で複利運用したらこ~んなにふえますよ」なんていう固定金利での説明は詐欺となんらかわりないということ


この基本中の基本、というか「積立投資における利益の本質」が全くわかっていないということです。
毎月買い付けしていきながら「平均単価」をつくっていく投資方法であるドル・コストで、売却時点でその投資対象の値段がそれまで買ってきた平均単価の「2倍」はたまた「3倍」になっているというケースというのは、どう考えておけばいいのでしょうか?どのような状況であれば可能なんでしょうか?
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”普通”に起こり得ることでしょうか?
これがわかっていないセルサイドがほとんどです。
素人(=セルサイド)が初心者に”ドヤ顔”で投資の説明をしている日本の積立投資業界。
危険極まりないことです。

保険業界は歴史を繰り返している

巷間、マネーセミナー等で積立投資を必死にすすめるFP資格保有者や保険募集人は、昔保険業界で問題になった「配当」を強調して貯蓄性の保険を販売していた保険会社やセールスレディらとなんら変わりないことをしていると思います。
何も検証せずに、会社(上司)や業界から言われたままのことを信じて、ただひたすらにセールスする(すすめる)という行動は同じではないでしょうか。
20年以上前の生命保険の設計書の解約返戻金や満期保険金の欄に「配当」(このままの金利で運用されていければ的な架空数字)を記載していて、後々問題になったのと同じ構図です。構図とは

終身保険・養老保険・年金保険の設計書で、解約返戻金や満期保険金と同額かそれ以上の配当金がつくように記載された保険設計書で勧誘していた。


明らかに同じでしょう。
保険代理店が行っているセミナーでは「変額保険で積立投資をすることで、バラ色の未来がやってくるかのようなシミュレーションとセールストーク」がされていますが、これらは過去に保険業界がやってきた「架空の配当表示」とほとんど同じ手法でしょう。
20年や30年も経過すると、また同じ手法で顧客を騙すんでしょうか?
そのような人間が出てくるんでしょうね。
まさに金融庁マターです。

間違った情報と浅い知識のリスクに晒される投資初心者たち

当コラムの読者の皆様で、上記で指摘しているような長期積立投資で「2倍」「3倍」にふやすことができると、セルサイドから説明を受けられた方(洗脳された方)は、

どのようなシミュレーション(動き)であれば、「2倍」「3倍」になるのかを実際の基準価額等を使って説明してもらってください。

上の図のような「投資対象の基準価額の変動」と「平均買付単価の変動」を作成してもらうといいでしょう。

もちろん、机上の話としてでかまいません。


実は、上の図のようなシミュレーションができないセルサイドがほとんどだと思います。
(よく口をそろえて「下がっても口数がどう」とか言っているから作成できないとおかしいんですけど・・・)
他人様に投資をすすめておいてこのようなシミュレーションが作成できないというのは、無免許運転でタクシーや大型バスを運転しているようなものです。

「作成できない=投資については素人」
となります。

しかし、セルサイドがしているドル・コスト平均法の説明は、本質をわかっていない教科書的な机上の空論、デタラメなものが多すぎですので気を付けましょう。
一歩間違えば、詐欺に巻き込まれてしまう可能性が高い世の中です。
特に金融では、「間違った情報と浅い知識」が大きなリスクとなります。


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