私は常々、日本のFP資格保有者は机上論者が多いと思っています。
これは、資格商売の弊害だと思っていますが、それが一般の方に間違った情報を与える要因になっていてはいけないと思います。
今回、「住宅ローン」と「老後資金作り」について多くのFPたちの考えのおかしさを指摘してみたいと思います。
よく老後の自己資金を準備するにあたって、3千万円必要、5千万円必要、7千万円必要などなど、いろいろ言われています。
この数字を良~~く見てください。
3千万円
5千万円
7千万円
1億円
冷静に考えてみてください。
どれだけ大きな金額でしょう。
「3千万円」を見てください。
3千万円というのは、「100万円」が「30個」必要になります。
つまり、年間100万円を貯蓄したとしても30回・・・30年という長さが必要になることになります。
老後資金のために年間100万円を手取り収入で稼ぎ出す力、ありますか?
それを30年、継続できますか?
もちろん、今、生活をしていく資金とは”別”にです。
できない?
できない場合、どうするか。
投資?
そう、多くのFPは投資をすすめています。
なぜ投資になる?
投資をすると運用益が期待できるから?
投資をしてお金をふやしていかないと間に合わないから?
多くのFPは、老後資金作りについて、この発想に導いていっています。
良く住宅ローンでお金を借りる際、
≪ 借りられる金額 ≫
よりも
≪ 返せる金額 ≫
を借りないといけないと言われます。
これは、今お金を借りられたとしても将来返していけなくなる可能性(つまり、リスク)があるということを想定して言っていることになります。
つまり、”安全運転”でいこうということですね。
この話は、判で押したかのように実に多くのFPが同じことを言っています。きっと様々なテキストや本で勉強したのでしょう。
しかし、こういうFPも資産運用の話になると、≪借りられる金額≫≪返せる金額≫というような考え方は頭からスッポリ抜け落ちて、≪投資が一番≫という考え方になります。
可能性(つまり、リスク)として、投資は大丈夫だ・・・というよりも投資をしないのはいけないことだと言っています。
低金利だから、積み立ての預貯金や保険商品ではお金はたいしてふえないから、投資をしていくことが必要だとすすめています。
つまり、”安全運転ではダメ”だということですね。
お金を借りることについては安全運転でないとダメ。
お金をためることについては安全運転ではダメ。
私は、この考えの違いに「理念のなさ」を感じています。
そう、机上論ですね。まさに多くの本や他人の意見に同調しているということです。
このふたつを比較した場合、個人としてのあなたの将来は信用できないが、投資をして運用する業者のことは信用できるって聞こえるのは私だけでしょうか?
言い換えると、あなたが仕事で稼いでくることについては信用できないが、あなたが投資をしたとしてその投資資金を運用する業者の仕事については信用できるってことではないでしょうか?
さらに言い換えると、あなたよりも他人を信用したほうがいいということではないでしょうか?
この「住宅ローン」と「老後資金づくり」の話、人生の三大資金と言われる資金のふたつの話です。
多くのFPがしている話は、あまりにも”理念のない話”のように思います。
投資業界で働く人、ファイナンシャルプランナーは皆お金持ちでしょうか?
(もしかしたらお金持ちかもしれませんね。)
投資をすすめるということは、「積立投資」のことになります。
商品は、ほぼ間違いなく投資信託か変額保険で、ドル・コスト平均法理論で説明しています。
当ブログをお読みの皆様はお気づきかと思います。
多くのFPは、投資のイロハである「利率」と「利回り」の違いを知らないです。
そうです。
「毎年その利率」と「平均その利率」は全く違うということを理解していません。
ただの机上の空論を、さも正しい理論だと言っています。
全く危険な人たちです。
すべては、「売り手側の理論」でつくられたものだということがわかっていません。
もう少し言いますと、長期投資はリスクを軽減する効果があるという話があります。
一時金投資をした場合に「1年」では大きなブレがありますが、「10年」とかになると平均に回帰してくるという話があります。だからずっとマーケットに資金を入れておきましょうというものです。
これは「率」の話であって、「金額」の話になると年数が長くなればなるほど「大きなブレ」が生じてきます。
こういうことを知らないFPがほとんどです。
業界の話を信じきってまったく検証しない、検証する力もないFPたちが多すぎです。
私は常々、日本のFP資格保有者は机上論者が多いと思っています。
そもそも論として、老後の自己資金準備にあたる金額が数千万円必要だという話にこそ、FPは疑問を投げかけてみることが必要ではないでしょうか。
「このぐらいの金額が必要、掛け算足し算してみましょう」
では、誰でもわかります。
FPの価値観は、そのような誰でもわかるような話をするものではないでしょう。
老後資金作りの話だけでなく、生命保険の話も同じです。
そういうところがわかっていないFPが多すぎだと思います。