積立投資、初心者を騙す可能性があるネット情報

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確定拠出年金、つみたてNISA・・・
これらを大きく前面に打ち出して、次から次へと溢れ出てくる積立投資をすすめる話。
業界関係者とすでに積立投資をしている人たちによる、いまだその世界に入っていない見知らぬ他人様をある意味煽るかのように積立投資をすすめる話。
そのような話の多くはネット経由による情報です。
私は、積立投資を否定していませんが、これらに関する情報の質や発信の内容からいまの積立投資は”ネット”ワークビジネスだと思っています。

さて今回、オールアバウトでアップされていた
保険で1000万円つくる方法とは?
という記事を読み、改めて指摘しておきたいと思います。

積立投資の成功確率は?

下のグラフをご覧ください。

筆者はマイナス100%からはじまるような「オレンジライン」の商品をすすめています。
巷間、平日の夜や土日に行われている女性(主に独身)向けのマネーセミナー参加者に対してすすめられている商品のほとんどがオレンジラインです。(怖っ)

保険商品の解約返戻金(積立金)がマイナス100%というのは、1年目の保険料がすべて掛け捨てになっているという意味です。
通常、掛け捨てというのは「資産がなくなる」ということですね。
投資の世界で「すべて資産がなくなる」というのは、大暴落にあたります。
積立投資だと言いながら、大暴落するものにシレ~と資金を投じさせるなんて普通の神経ではできません。
専門家気取りの人がマイナス100%からはじまるような商品をすすめるなんて、まさにネットワークビジネスの影が見え隠れしています。
筆者は、スタート地点でマイナス100%になっていたとしても保険会社作成のパンフレットにそう書かれているからということで「毎月2万円、30年間、6%運用で、720万円が1,538万円になる」と言っています。
どうしてこうも金融商品販売者が法令違反とされていることを平気で語れるのでしょうか?
(※保険会社等のパンフレットの将来シミュレーションでは、こういう条件の下、という文言が必ずあります。それが法令違反にならないところ)

専門家気取りで書くのであれば
●30年間毎年6%運用できた場合であり、そうなる可能性は(     )%
この程度は書くべきでしょうね。そうでないと断定的判断の提供(期待させるのも)と同じ行為です。
投資を必死にすすめる人たちはよく「宝くじの確率は」「競馬の確率は」「パチンコの確率は」などと言いますが、「積立投資の確率は」は一言もありません。
不確実なものに対しては、やはり確率を言うべきでしょうね。
いえ、そもそも
●変額保険で毎年6%運用ができるかのような印象を与える記載は避けた方がいいのではないか、過去の大手生保会社らが記載していた「高配当記載問題」と同じ

だということを指摘していくべきではないでしょうか。
残念ながら日本でそれを指摘するFPたちを見たことがありません。
初心者レベルの保険募集人が増えているのも一因ではあります。
それは初心者レベルを指導する立場にある層の質の劣化だともいえます。

そもそも保険会社のパンフレットに書かれているように「6%」になる可能性が高いのなら、保険会社自体が普通にやっているでしょう。
事実、そのパンフレットには「3%」の運用結果は「運用が不調の場合」となっていますので、かなり高い確率での運用成果を期待させています
そうであれば、経費を考慮した「高予定利率」商品を販売すればいいのにしないのはなぜでしょう。
つみたてNISAをすすめている金融庁も商品認可を与えますよ。(そうでなければ嵌め込みを疑います)
個人的に疑問に思っているのですが、3%が「運用が不調の場合」という表現にすることは、自社の他の定額保険の予定利率の水準からいって適切なのでしょうか。

保険会社や当商品などを積立商品として販売している保険代理店が「フィデューシャリー・デューティー宣言」をしており、変額有期保険は「責任準備金」「予定利率」が大きく解約返戻金(積立金)の成績に影響を与える仕組みだということを伝えていないのなら「仏作って魂入れず」でしょうね。

100歩譲って変額保険で積立投資をすすめるのであれば「変額”年金”保険(月払)」を語るべきです。
保険会社側も「変額」商品を取り扱い、変額での資産形成を謳うのなら「変額年金保険(月払)」から商品ラインナップをしていくべきでしょう。

一事が万事、日本で積立投資をすすめる人は同じことしか語れない

そして筆者は、誰でも彼でも言っている積立投資について同じようなことを語っていました。

真っ正面から投資に向き合う人は、先ほどの例で試算すると、30年後は2,009万円の将来価値が見込めます(毎月2万円を6%で複利運用)

これは、いつもの通り「毎月2万円を固定金利6%で30年間複利計算している」だけです。
720万円(2万円×12×30年)が約3倍になっています。

まずは注意喚起!
不確実な投資に関して「30年で6%運用」が確実かの印象を与える(それ時点で断定的判断の提供)ものは、歴史上「詐欺」的なものが多いでしょう。
それが積立投資であれば許される風潮が不思議ですね。
「投資家の自己責任です!」
この言葉は売り手側のためにある魔法の言葉です。

当ブログで何度も指摘しています。
積立投資で評価額が投資元本の3倍になるということは

買い付けてきた投信の30年後の基準価額が、30年間の平均買付単価の”3倍”になっているということです

普通の頭で考えてみましょう。

毎月積立投資は、毎月”価格変動”をするものを買っていくことで”平均の買付単価”がつくられていきます。
どのようなイメージかわかりますか?
積立投資は毎月ずっと買い付けていきますね。
当然、前月までの平均買付単価があり、今月の基準価額を買うと今月までの平均買付単価ができます。

30年間、毎月価格変動のものを買っていくと30年の平均買付単価ができます。

価格変動しながら毎月継続していった30年の積立投資の平均買付単価が「30,000円」だったとしましょう。
(最終的な買付が終わったとする)30年後の評価額が「2倍」になるということは、30年後の売却時の基準価額が「60,000円」になっているということです。
「3倍」になるということは、30年後の売却時の基準価額が「90,000円」になっているということです。

上へ下へと価格変動するものを毎月買っていきながら平均を追いかけていく価格の動きです。
どのようなシミュレーションであればそうなるのでしょうか?
念のため・・・毎年6%運用という固定金利の数学シミュレーションではなく。

このようなことを説明している人を見たことがありません。
いつも「口数がどう」「〇%複利がどう」という本質を知らない話ばかりです。

ちなみに、価格変動するものが右肩上がりで上昇するという前提に立っている人たちは、積立投資ではなく一括投資を推奨するべきです。
そうでないのなら「30年」などといった長期投資の話をするのはやめたほうがいいでしょう。

最後に、下のグラフを見て思いましょう。
多くのFP資格保有者、証券業界、保険代理店が説明している積立投資を行った日本人の将来の金融資産のイメージです。



積立投資でこのようなことになる世の中になるのなら
●一括投資で大きく儲かる環境になる
●固定の高金利商品がある
●賃金が大きく上昇している

等々を想像してもいいでしょう。

え?
ここ5年の金融緩和みたいなことが数年程度の間隔でまた起こるって?
そうかもしれませんね。
そのようなことが起こるのは、悲劇的なことが起こることが前提でしょうね。
きっと。

そういう悲劇的なときがきたときに、FP資格保有者、証券業界、保険代理店はきちんとアドバイスをしていくことが望まれるのではないでしょうか。

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