書籍「生命保険の嘘」はウソとミスリード

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二人の著者は生命保険を語るに相応しいのか?

『生命保険の嘘 「安心料」はまやかしだ』(後田亨著、大江英樹著、小学館)という書籍があります。
今回、この本についてお話します。
とても過激なタイトルですね。
まず、この著者のお二人ですが、”生命保険の嘘”という過激なタイトルを使って本をだせるだけの略歴をお持ちなのでしょうか?
著書にある著者紹介を参考にみてみます。

後田亨氏

日本生命で約10年間営業。
その後、乗合代理店へ。
現在、保険商品の販売を行っていない。(=保険募集人は廃業?)

後田氏について。
以前自身が保険募集(=保険商品の販売)を行っている際に書かれていた本で、途中で保険営業を辞めた人に対して「離脱者」として表現していました。
同じように表現すると「脱落者」といっていいでしょう。
なぜなら、保険営業は”フルコミッション”の世界です。
現在、自身も保険募集を行っていないということですので、保険営業を辞めたことになります。脱落という表現がピッタリです。
かつ、FPの資格すら保有していないらしいです

そうであれば、金融業界の法令(保険業法・金融商品取引法・FP倫理規定等々)の外でモノ申しているのではないでしょうか?
憲法の下でモノ申しているだけではないでしょうか?(言論の自由)
それって、単なる消費者レベルではないでしょうか?

大江英樹氏

野村證券で資産運用等の業務。

大江氏について。
保険会社勤務、保険代理店勤務、保険募集人の経験はなさそうです

このお二人の背景を見た限り、”生命保険の嘘”という過激なタイトルで書籍化できるほどの見識をお持ちなのか疑わしいというのが率直な感想です。

行動経済学から語っていますが、大丈夫か?

著書は、「行動経済学」を使って生命保険の保険販売者のセールス行動、保険契約者の判断・契約行動について語ろうとしています。
端的に言うと、多くの人が保険契約をするのはおかしい、消費者が合理的な行動をしないのはおかしい、もっと合理的な行動をしないといけませんと言っている本です。

行動経済学と対になるのは「伝統的(古典的)経済学」です。
まず、伝統的経済学では、人は合理的な行動をするということが前提になっています。
ここでいう合理的な行動というのは、認知や判断に関して完全に合理的であって意思は固く、自分の利益のみを追求するということです。
ここで行動経済学で有名なゲームをご紹介します。

最後通牒(さいごつうちょう)ゲーム

<ゲームの内容>
知らない者同士2人が一組となります。
片方(A)に「1万円」を渡します。
その「1万円」を自分(A)と相手(B)とでいくらずつ分けるかを提案してもらう。
提案された側(B)は、その提案を受けるか、受けないかを決めます。
受ければ、提案された「1万円」が二人で分配されます。
受けなければ、2人とも「1万円」はもらえません。

さて、あなたならいくらを相手に渡しますか?

<ゲームの前提>
・お互い金銭的価値を追求する
・お金を分配する人(A)はどんな分け方でもかまわない
・相手(B)には受けとらない拒否権がある
・相手(B)が受け取らなければ双方受け取れない。

このゲーム、著者らが読者らに対してそうしなさいという合理的な人であれば

提案する側(A)は「9,999円」を自分がとり、「1円」を相手(B)に提案します。
そして
提案された側は「1円」をありがたく受け取るということになります。

なぜなら、提案する側(A)は「利己的」であることが前提であり、そうであれば「9,999円」を欲するはずだからです。
また、提案された側(B)はたとえ「1円」であっても「ゼロ」よりはいいとのことで、拒否をしないはずだからです。

しかし
現実の世界ではどうなんでしょうか?
提案された側(B)は「1円?なんだ?その不公平感!それならいらない!拒否します」とならないでしょうか?
そうすれば提案した側(A)も「9,999円」を受けとれませんから。
これは、自分が損をしてでも相手に制裁を与えようと考える行為ですね。

このゲーム、あなたならいくらを提案しますか?
「5,000円(4,999円、5,001円)」?
「4,000円」?
「3,000円」?
また、あなたならいくらを提案されたら拒否しませんか?
「1円」?
「2,000円」?
「3,000円」?
「5,000円(4,999円、5,001円)」?

行動経済学が云々と言っている著者らは当然このゲームのことは知っています。(常識!)
著者らはきっと「9,999円」を提案するのでしょうね。(そうでないとおかしい!)
自分が「9,999円」を受け取って相手に「1円」を渡す。
なんと合理的なのでしょう!
実際にそのような人がいたとして、あなたはそのような人たちと付き合いたいと思いますか?
自分に「1円」しか渡さない相手と。

著者らはそういう人らしいです。

著者らが行動経済学で人の行動の非合理さを理解しているのなら

著者らは「お金第一主義者」なのでしょうか?
特に、後田氏にいたっては生命保険業界を批判するだけ批判していますので、ハッキリと指摘しておきます。

人は「お金の価値」だけで行動しているのではありません

それをわかっていない人が、生命保険に対する多くの人の考えや思い、契約行動を理解するのは、まず無理でしょう。

著者らが本当に人の行動の非合理さを理解しているのなら、著書で書いている意図は
読者(保険契約者)を馬鹿にしているのでしょうか?
それとも
ポジショントーク大全集みたいなものなのでしょうか?
それとも
生命保険販売という仕事をしている募集人をただ批判したいだけなのでしょうか?

批判するだけの仕事は世間に通用しない

著書の「はじめに」(後田氏)という部分にとても面白いことが書かれていました。
引用(9ページ)します。

最近は有料での「保険相談」にも限界を感じています。自分なりに論理や合理性に基づいて相談に応じたり情報発信したりしているつもりなのですが、多くの消費者が行なう選択は、むしろ極めて情緒的だからです。

>限界を感じています
本文に「無料相談窓口が儲けまくる理由」というものがありますが、商売敵を批判しているだけですからね?(^m^)
>自分なりに
言っている論理や使っている統計とか、けっこう間違っているところが多いのではないでしょうか?
>極めて情緒的
行動経済学を学んだのならわかるでしょう?

保険についてメディアやネット等で批判記事を書いて商売している人って、それを読んだ人がそのあとどうなっても知りませんよね?
(影響後の検証をしていない)
つまり、無責任な人が多いのではないでしょうか。

この本買ったのかって?
買うわけがありません。
それが合理的な行動です。(^▽^)

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