机上論者が行う個人年金保険否定の説明パターン

Pocket

FP資格保有者の知識と経験への疑問

FP資格保有者の自己アピール手法のひとつに
「貯蓄性保険の否定」
があると思っています。
私は彼ら彼女らを机上論者としか思っていませんが、今回目についた机上論者特有の記事を斬っておきます。

プレジデント・オンライン(2017.5.27)
「老後のための貯蓄は個人年金?普通預金?」
(PRESIDENT 2015年6月15日号)

ただ、老後資金を貯めるのに有利かというと、決してそうとはいえません。

たとえば、40歳男性が60歳から10年間、毎月5万円ずつの年金が受け取れるプランに加入した場合、保険料の月額は2万3808円。総受取額600万円に対し、払込保険料総額は約571万円で、約29万円、受取額が多くなります。

最近は、保険会社が広告などに「戻り率」という指標を記載していますが、これは払込保険料総額に対していくら受け取れるかを示すものです。前述のケースの戻り率は105%で、一見なかなか良さそうだと思われるかもしれませんが、これは20年間、保険料を払い続けたら払込額の105%が戻る、という意味です。

おトク度を測るには年利回りを出す必要があります。前述のプランを換算するとわずか0.1%。0.1%が20年間固定されるので、金融商品として魅力はありません。

>前述のケースの戻り率は105%

この元記事は「2015年6月15日号」のようですので、私の資料ですぐにわかるもので例をあげさせていただきますと、

2015年6月時点
個人年金保険(某生命保険会社)
男性39歳、55歳で保険料払込終了、60歳から10年確定年金、月払プラン(税制適格年金)
返戻率(戻り率):117%

となっています。
105%と117%(男性39歳ですが)、資産形成としては大きな差です。
まず、このようなメディア記事に例としてだしてくる商品としては、調査が不足しているといえるでしょう。

>おトク度を測るには年利回りを出す必要があります。前述のプランを換算するとわずか0.1%

年利回り0.1%?
どういう計算をしているのでしょうか?
計算根拠をだしてほしいです。
(本当にわからない)


(図:プレジデント・オンライン)

>今の個人年金は親世代とは全く違う

でました!「親世代とは違う」論法。
親世代と違うのは、個人年金保険だけではありません。
「銀行の預金金利」も「住宅等のローン金利」も全く違います。
これは、
FAX付留守番電話が買えて大喜びしていた時代(1990年)とスマホを普通に買える時代(2015年)とを比較して何が楽しいのでしょうか?
というレベルです。
1990年の電話・通信レベルに戻りたいですか?
つまり
1990年の金利レベルに戻る可能性はどれほどあるというのでしょうか?

さらに驚くべきことに、上の図にはこうも書かれています。

>預貯金はいつでも使えるが、年金が使えるのは老後のみ

またでました!
論点ずらしのミスリード!!
そもそもの記事タイトルはこうなっています。
「老後のための」
そして、記事の冒頭にもこう書かれています。

老後のお金を貯めることを目的とした商品に、「個人年金保険」があります。数十年間にわたって保険料を払って老後に年金を受け取る、貯蓄目的の生命保険です

このように、自分で「老後の」「老後に」と何度も言っておきながら

>預貯金はいつでも使えるが、年金が使えるのは老後のみ

すごいですね。
「年金が使えるのは老後のみ」って・・・
この方と会話をするとこういうことが成立するでしょう。

「ラーメンを食べに行くためのお店はラーメン屋?ファミレス?」

という記事があったとして、ファミレスはいろいろなものが食べられるが、ラーメン屋はラーメンのみと言っているのと同じではないでしょうか。

このような”ラーメンを食べに行くための”という目的をすり替えて、
はじめからわかっていること・当たり前なことを前者」とし、かつ「後者(例:ラーメン屋)を”のみ”扱い」とする手法は、否定のための否定だと言えるでしょう。
つまり、結論ありき。
続いて、

もうひとつ注意したいのは、中途解約すると、ほとんどの場合、解約返戻金が払込保険料総額を下回る、つまり元本割れするということです。教育費が想定以上にかかるなど、保険料の支払いが厳しくなることも考えられますが、解約すると損してしまうのです。

あの~
「老後のための貯蓄は」
という話をしているのに、なぜ「教育費」の話をだすのでしょう?
それは、そもそも「ライフプランニング」の問題であり、商品を語る以前の話だということです。
これについては、こう喩えましょう。

これから結婚するカップルにこう言っているようなものです。
結婚資金はこのぐらいの費用がかかります。
しかし、離婚することも考えられます。
離婚すると損してしまうのです。
ですので、結婚しないほうがいいでしょう。

と同じ論法だと思いませんか?
「結婚する」人たちに対して「離婚する」ことを話しているようなものです。

給与天引きで積み立てられる社内預金や財形貯蓄、銀行の積立預金を利用すれば、半ば強制的に、確実に貯めることができます。預金なら、家計の変化に応じて積立額を調整できるというメリットもあります。勤務先の社内預金、財形貯蓄には、利子補給や積立額の補助が付く例もあります。

>家計の変化に応じて積立額を調整できるというメリット

調整も「減額」だったら老後という”一大イベント資金”が貯まりませんね。

>勤務先の社内預金、財形貯蓄には、利子補給や積立額の補助が付く例もあります。

いまは転職が当たり前になっている世の中です。
しかも”社内預金”なんて制度をつかっている勤務先って、どのような読者像を描いているのでしょうか?
社内預金していたとして、勤め先企業が倒産をしてしまったら?使い込んでしまっていたら?
そのようなリスクは想定しないのでしょうか?
FP資格保有者が、よく持株会の話をするときは倒産リスクを言っていますが。。。

金利の小波に乗って預け替えを繰り返すことで、運用のコツをつかむことができ、定年後のまとまった資金の運用でも失敗を避けやすくなります

>運用のコツをつかむことができ

これはまったく同意できません。
その程度のことで「定年後のまとまった資金の運用」ができると思っているのでしょうか?
運用の世界を軽く見すぎ、言い過ぎています。

私はこの記事にある2万3千円ほどを貯蓄していこうとすること自体を評価します。
それを行うための金融商品が記事中にある個人年金保険(2015年6月現在)でもまったく問題ないと思います。

このようなFP資格保有者の記事を参考にしていると、老後の資産形成が失敗するかもしれませんね。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする