30年のドル・コストで「2倍」「3倍」になるシミュレーションを見せてほしい

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詐欺まがいでないなら実現方法を見せてもらいましょう

いま日本の金融業界では、投資信託や変額保険を使った積立投資で、30年ほどの長期投資をすれば「2倍」(5%複利)や「3倍」(7%複利)になるという説明を平気で行っています。
多くはネットワークビジネスと同じようなセミナー手法です。
ディストリビューターとして、保険募集人やIFA、FP資格保有者、直販投資会社などがウジャウジャ行っています。
そうなると、普通の人たち(投資初心者たち)は「そうなんや~♪」「できるんや~♪」って思うことでしょう。
まさに洗脳「集団催眠から個別囲い込みへ」です。

私はそのデタラメな洗脳(投資信託や変額保険を使った積立投資で、30年ほどの長期投資をすれば「2倍」(5%複利)や「3倍」(7%複利)になる)を「おかしい!!」と主張しています。
もちろん”100%”できないとは言いません。(確率論として、できない可能性が高い)
しかし、上記の業界関係者の説明ぶりでは、ほとんど誰でも

長期積立投資をすれば、リスクは軽減され、5%複利・6%複利・7%複利などが実現する

と思わされます。
それにしても、多くのFP資格保有者らは5%~7%複利の積立投資が実現すると、ネットや書籍でも言いまくっています。
ご丁寧に、ネットや書籍で証拠を残してくれていますので逃げられません。
さらに、彼ら彼女らの「〇%複利」論は毎年「〇%複利」で、固定金利商品の説明をしてしまっています。

積立投資を必死にすすめる業者たちは、詐欺まがいでないなら実現方法を見せてください。
「〇%で複利運用できれば・・・」
残念ながら、これは単なる”数学”の話です。
しかも固定金利商品シミュレーションです。
まったく”積立投資”の話ではありません。
これは誤認勧誘です。

そして、ここは想像力を働かせないといけませんが、積立投資でほとんど誰もが「2倍」「3倍」の結果を得られている世の中になっていれば、おそらくは次のような世の中になっているかと思います。
たとえば「国家税収増」「公的年金運用良好」「給料毎年UP」「ボーナス増」「定期預金金利UP」「生命保険予定利率UP」など良いことづくめの好景気バンザイ状態の日本になっているのではないでしょうか。
なにより「積立投資をしていること自体が機会損失になっている」状態だと想像できます。

これについて、もし業者らが
「日本については悲観で、海外に投資をしていればの話だ」
なんていうことであれば、”グローバル経済”と”日本人”というものをわかっていないといえるでしょう。

そこで、今回は3つのシミュレーション(毎月1万円ずつのドルコスト平均法)を見ていただこうと思います。

①アベノミクスの3年間の日経平均株価(2013年1月末~2015年12月末)を7回繰り返したドル・コスト平均法でどうなるか!?21年間。

②アベノミクスの3年間の日経平均株価(2013年1月末~2015年12月末)を経て、その後「2015年1月末~2015年12月末」(1年間)の平均株価を18回繰り返したドル・コスト平均法でどうなるか!?21年間。

③リーマンショックとアベノミクス(異次元緩和)を2回経験。日経平均株価「2007年1月末~2015年12月末」(9年間)を経て、その後、それを1回繰り返したドル・コスト平均法でどうなるか!?18年間。

※2016年1月以降の数値はまったくの架空です。
つまり机上のシミュレーションです。

①アベノミクスの3年間を7回繰り返した場合

まず
「アベノミクスの3年間の日経平均株価(2013年1月末~2015年12月末)を7回繰り返したドル・コスト平均法でどうなるか!?21年間」
です。

この期間に積立投資をはじめられた方も多いのではないでしょうか。
そしてこの3年間は、株式投資についてはとても良い時期だったと振り返ることができると思います。
そこで、この「3年間」を繰り返していったシミュレーションです。

「2015年12月末の株価」の次が「2013年1月末の株価」になりますので、ガクッと暴落シミュレーションになります。
そこはご了承ください。^^;
その分、強烈な上昇がありますので。

2016y12m31d_150050600

この結果では、積立投資で2倍や3倍にはなりません。

②アベノミクスの3年間を経て、その後2015年を18回繰り返した場合

次に
「アベノミクスの3年間の日経平均株価(2013年1月末~2015年12月末)を経て、その後「2015年1月末~2015年12月末」(1年間)の平均株価を18回繰り返したドル・コスト平均法でどうなるか!?21年間」
です。

①は、ガクッとしてしまいますので、最初の3年を経たあと、「2015年1月末~12月末の株価」を繰り返していったシミュレーションです。
20,563.15円~17,645.11円のボックス相場です。

2016y12m31d_150122678

この結果では、積立投資で2倍や3倍にはなりません。
手数料によっては、元本割れの可能性があります。

③リーマンショックとアベノミクスを繰り返した場合

最後は
「リーマンショックとアベノミクス(異次元緩和)を2回経験。日経平均株価「2007年1月末~2015年12月末」(9年間)を経て、その後、それを1回繰り返したドル・コスト平均法でどうなるか!?18年間」
です。

現在は、リーマンショックを超えて積立投資を継続してきた方にとってはとても良い時期です。
そこで、「大きな下落と大きな上昇」を繰り返したシミュレーションです。

2016y12m31d_150138139

この結果では、積立投資で2倍や3倍にはなりません。
また5年ほどの元本割れと最悪40%ほどの損失を経験していかないといけません。

机上の空論は誰のため?

いかがでしょうか?
机上のシミュレーションではありますが、これを笑っているようではいけません。
このシミュレーションの「質」、このシミュレーションから「得られる情報・知識」は、いまの日本の金融業界からは発信されていません。得られません。
貴重なものだと思ってください。

あなたが毎日一生懸命働いて得た大切なお金。
あなたが何年もかけて蓄えてきた大切なお金。

デタラメな情報と間違った知識、ミスリードによって「後悔」をしないようにしましょう。

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コメント

  1. ツーママ より:

    以前は私も、ドルコスト平均方での長期投資を、かなり信じていました。しかし二年前の中国ショックで、含み益がプラス20%からマイナス10%くらいに落ちました。プラマイゼロになるのに約一年かかり、もう一年でやっとプラス10%超えになりました。しかしながら、この失敗・暴落を経験したからこそ、気づけたのだと思います。
    長期投資はほったらかしでいいと言われてますが、それは信用しない方が安全です。

  2. FPマネーネット代表 より:

    そうですね。
    過去こうだったという話や自分が経験しなくてもいいことなどはいくらでも話すことはできますが、将来のことや自分が当事者となる場合はそうはいきません。
    積立投資のカリスマ(?)的なブロガーもいますが、それも確率の問題です。
    投資に限らずですが、参加人数が増えれば必ずある一定の数%ほどの成功者が目立ってきます。
    それがスタンダードだと勘違いしてしまうと徐々に思っていたのと違う、聞いていたの違うというストレスが溜まっていってしまうでしょうね。
    コメントありがとうございます。

  3. ぴーぷる より:

    配当を再投資するという観点が抜けてると思います。
    少し結論を出すには短絡的すぎますね。

  4. FPマネーネット代表 より:

    コメントありがとうございます。

    >配当を再投資するという観点が抜けてる

    配当?
    投資信託の?
    変額保険の?

  5. 投資初心者 より:

    はじめまして。投信積立の書籍やブログを読んでいるうちに、こちらのサイトにたどりつきました。興味深く読ませていただいています。
    インデックスファンドは株価指数に連動させるため、基本的に配当金はないとのこと。では、投信積立の複利効果とは何だろう?と思っていました。
    結局のところ、書籍やネットで勧められている投信積立とは、「元本」と「利益確定していない単利の合計」ではないか?と思ってしまいます。
    インデックスファンドで5%複利(15年で約2倍)を実現したければ、
    (1)一括購入する、5%上がったら全て売る(当初の105%)、その全額で株価が安くなった時に一括購入する、5%上がったら全て売る(当初の110.25%)を繰り替えすか、
    (2)例えば日経225インデックスファンドなら、2018年5月7日の日経平均株価22,467円が1年後に23,590円(5%上昇)、2年後に24,769円(5%上昇)、15年後には45,000円!(約2倍)を越えることを待つ、これ以外にはないのではないかと思います。
    ほったらかしでは難しいですね。これも気を付けるべき「うまい話」なのかもしれません。

  6. FPマネーネット代表 より:

    コメントありがとうございます。

    >投信積立の複利効果とは何だろう?と思っていました。

    はい。私もそう思ったところから検証していきました。^^
    現実は、不確実な投資については「結果的に複利効果が働いた」という過去を振り返って使うものだと思います。
    プラスでもマイナスでも。

    (1)(2)、おっしゃる通りです。
    ただし、(1)も(2)も机上の空論だと笑われる可能性が高いですが、このような例を笑うなら「投資の複利効果でこうなる」という話も笑わないといけませんね。^^
    同じ話をしていますから。

    ほったらかしでいいという話は、過去形だから言えることです。
    本当にそれでいいのなら、24時間365日金融のことを考えている金融機関が普通に商品化してやっているでしょう。