適合性の原則とは

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適合性の原則。
私は、「初心者向」と謳っているマネーセミナー・マネースクールで、変額有期保険や変額終身保険を積立投資として販売しているケースは、これに違反しているのではないかと考えています。

なぜなら、
変額保険には「予定利率」「責任準備金」という積立投資をするには不利益になる仕組みがあるからです。
これら「予定利率」「責任準備金」を積立投資をしていると思っている契約者「マネーセミナー経由の契約者=初心者」が「顧客の知識」として理解しているかは甚だ疑問です。
いや、
販売している保険募集人自身も説明できないのではないでしょうか?
できなければ、そもそもOUTです。

【適合性の原則】
金融商品取引業者等は、業務の運営の状況が、次に該当することのないように、業務を行わなければならない。
(1)金融商品取引行為について、
(2)顧客の知識、経験、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的に照らして、
(3)不適当と認められる勧誘を行って投資者保護に欠け、又は欠けるおそれがあること


つまり、適合性の原則とは「顧客の知識」「経験」「財産の状況」等に照らして不適当と認められる勧誘を行ってはならないとするものです。
ポイントは、投資対象に適合性を有しない顧客に対しては、そもそも勧誘を行ってはならない義務を業者に課すことにあります。

*平成17年7月14日最高裁判決
顧客の適合性を判断するに当たっては、一般的抽象的なリスクのみを考慮するのではなく、具体的な商品特性を踏まえて、これとの相関関係において、顧客の投資経験、証券取引の知識、投資意向、財産状態等の諸要素を総合的に考慮する必要があるとし、業者に対して損害賠償責任を生じさせることを明らかにしました。

*適合性の原則に違反した場合
行政法:行政処分(金融商品取引法第52条第1項第6号)
民事法:損害賠償請求(金融商品販売法第5条等)

”初心者向”と謳うマネーセミナーについて

保険代理店が行っているマネーセミナーやマネースクールとやらは、ほとんどが「初心者向」となっています。
これは講師をする自分たちのレベルが初心者レベルという意味もあるのでしょうが、基本的にセミナー参加者は「初心者」が多いと考えられます。

その「初心者」に対して、最終的に販売されている(セミナー参加者がセミナー後の個別相談で勧誘されます)商品の代表が「変額有期保険」です。
それがお客様にすすめられる目的・理由は「資産形成(積立投資商品)」としてです。
最近では、「一時払の外貨建変額終身保険」等も販売されています。
この一時払商品は、複雑な商品でありながら顧客側にメリットがまったく感じられません。
そもそも「初心者向」とは到底言えないような仕組みになっています。

セミナー主催者は、「初心者」とはどう定義しているのでしょうか?
それはセミナー内容からもわかりますが、やはり「投資初心者=投資をしたことがない人」でしょう。

であれば、
これらの商品の勧誘が、適合性の原則に違反することにはならないのでしょうか?
考えてみましょう。

※被害者は、自分で声をあげないと騙されたままです。

変額有期保険は積立投資商品ではない!!

投資初心者には「投資信託」よりも「変額有期(終身)保険」が一番だと言うマネースクール業者があります。
私から言わせると「能力的に大丈夫か?」「手数料のために言っているのはみえみえ」というものです。(^m^)
投資初心者に投資をというなら私の常識では「インデックス型の投資信託」をすすめます。
そのマネースクール業者もIFAといって、金融商品仲介業(投資信託を販売できます)をしています。

「変額有期保険」「変額終身保険」の大きなポイントは

予定利率がある

責任準備金を積んでいく商品である


というところです。
この「予定利率」「責任準備金」という保険商品ならではのものがあるということが、実際の資産形成という目的の運用にとってはもちろん、投資初心者にとってどれだけ「手かせ」「足かせ」になるか!?

(取扱いができる業者であれば)なぜ「変額年金保険」でなかったのか?
(IFA業者であれば)なぜ「投資信託」でなかったのか?
(FPであれば)なぜ「確定拠出年金」でなかったのか?
このあたりを突けば、ぐうの音もでないでしょう。
これらの説明を是非受けましょう。(録音をお忘れなく!)

通常、マネーセミナー、マネースクールの集客広告やセミナー資料にあるのは「お金をふやしましょう」「お金に働いてもらいましょう」です。
決して「死亡保険に入りましょう」ではありませんよね。

であれば、
上記の商品を勧誘することは、適合性の原則に違反することにはなるでしょう。
そうでないと言うのなら、何のための法令かわからなくなります。

契約の取り消し、損害賠償

資産形成(積立投資)として、変額有期保険か変額終身保険をすすめられた場合、「特別勘定が〇%」だというところを見てはいけません。それはミスリードです。
見るべきポイントは、

解約返戻金が保険料累計を上回っているかどうか

そして、その利回りが投資信託(または変額年金保険)を買っていた場合と比較してどうだったか


というところです。
「複利」?
「ドルコスト」?
「長期」?
そんなものは関係ありません。

自分が一生懸命働いて得た大切なお金です。
詐欺に合っていれば取り返そうと行動しませんか?


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